プレス加工とは｜基礎知識から種類、金型の種類を徹底解説

プレス加工とは、金属の板材に金型を押し付けて成形する製造方法です。金属を柔軟に加工できるため、自動車や電子機器、家具や家電などさまざまな分野で活用されています。

今回の記事では、プレス加工の基礎知識をおさらいし、加工の種類や金型の種類について解説します。

製造工程においてプレス加工を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

プレス加工の基礎知識

プレス加工とは、金属板などの材料を金型で挟み込み、圧力を加えることで目的の形状に成形する加工方法です。プレス加工は、自動車部品や家電製品、建築資材など、さまざまな製品の製造に用いられています。身近な例では、スマートフォンの筐体、自動車のボディパネルなどがプレス加工によって製造されています。

プレス加工は、金属材料の塑性変形を利用した加工方法です。塑性変形とは、材料に力を加えて変形させた際に、力を取り除いても元の形状に戻らない性質のことです。プレス加工では、この塑性変形を利用して、材料を金型の形状に合わせて変形させます。

プレス加工の最大の特徴は、短時間で大量の製品を生産できる点にあります。金型を一度製作してしまえば、同じ形状の製品を効率的に製造することが可能です。これは、大量生産が求められる現代の製造業において非常に大きなメリットとなります。

また、プレス加工は高い精度で加工できるため、寸法精度が求められる部品の製造にも適しています。

プレス加工の種類

プレス加工には、さまざまな種類があります。ここでは、代表的なプレス加工の種類について、それぞれの特徴や用途を詳しく解説します。

▼プレス加工の種類

• せん断加工
• 曲げ加工
• 絞り加工

せん断加工

せん断加工は、材料を金型で挟み込み、せん断力によって切断する加工方法です。材料を切断するだけでなく、穴あけや切り込みなどにも用いられます。

せん断加工は比較的シンプルな加工方法であり、さまざまな形状の製品を製造することができます。例えば、板材から特定の形状を切り抜いたり、穴を開けたりする際に使用されます。

せん断加工は、他のプレス加工と組み合わせることで、より複雑な形状の製品を製造することも可能です。

曲げ加工

曲げ加工は、材料を金型で挟み込み、曲げ力によって曲げる加工方法です。材料を直角に曲げたり、円弧状に曲げたりすることができます。

曲げ加工は、箱型やL字型の部品など、さまざまな形状の製品を製造することができます。例えば、金属製の箱や筐体、ブラケットなどを製造する際に用いられます。曲げ加工では、曲げ角度や曲げ半径などを正確に制御することが重要です。

板金加工における曲げ加工については、以下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。

＞＞内部リンク「板金加工　曲げ」

絞り加工

絞り加工は、材料を金型で挟み込み、絞り力によって凹凸を形成する加工方法です。絞り加工は、カップや容器など、立体的な形状の製品を製造することができます。

例えば、飲料缶や鍋、自動車の燃料タンクなどを製造する際に用いられます。絞り加工では、材料の伸びや縮みを考慮して金型を設計する必要があります。

プレス加工と板金加工の違い

板金加工とプレス加工は、両者とも塑性変形を利用した加工方法で、基本的な違いはほぼありません。

プレス加工では製品の形状に合わせた専用の金型を用いるのに対し、板金加工は汎用金型を用いて加工が行われることが多いといった違いがあります。

プレス加工に使用する金型の種類

プレス加工には、さまざまな種類の金型が使用されます。ここでは、代表的な金型の種類について、それぞれの特徴や用途を詳しく解説します。

▼プレス加工に使用する金型の種類

• 単発型
• トランスファー型
• 順送型

単発型

単発型は、1回のプレス作業で一つの工程を行う金型です。シンプルな形状の製品を製造する際に使用されます。構造がシンプルであるため、製作コストが比較的低く、メンテナンスも容易です。

しかし、1回のプレス作業で一つの工程しか行えないため、複雑な形状の製品を製造する際には、複数の単発型を組み合わせる必要があり、生産効率が低下する可能性があります。

トランスファー型

トランスファー型は、 単発型を工程順に並べることで連続加工できるプレス金型です。複雑な形状の製品を製造する際に使用されます。

材料を金型内で移動させる機構を備えており、複数のプレス工程を自動的に行うことが可能です。これにより、生産性が高く、人件費を削減することができます。

順送型

順送型は、材料を送りながら複数の工程を連続して行うことができる金型です。大量生産に適しており、複雑な形状の製品を効率的に製造でき、材料を連続的に送りながら、複数のプレス工程を自動的に行うことができます。これにより、非常に高い生産性を実現することが可能です。

また、加工精度も高く、高品質な製品を製造することができます。しかし、構造が複雑で、製作コストが高いというデメリットがあります。

プレス加工の製品例

プレス加工は、私たちの身の回りのさまざまな製品に使われています。以下の表は、代表的なプレス加工の製品例をまとめたものです。

まとめ

今回の記事では、プレス加工の基礎知識をおさらいし、加工の種類や金型の種類について解説しました。

プレス加工とは、金属板などの材料を金型で挟み込み、圧力を加えることで目的の形状に成形する加工方法です。短時間で大量の製品を生産でき、金型を一度製作してしまえば同じ形状の製品を効率的に製造できます。

プレス加工を検討している方は、ぜひこの記事を参考に準備を進めてみてくださいね。

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