
多くの特性を持つアルミニウムは、現代の産業界において欠かせない材料となっています。
身近なものにも使われている材料ですが、具体的な特性を理解している方は少ないのではないでしょうか。
そこでこの記事では、アルミニウムの特徴や種類、注意点について詳しく解説していきます。
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アルミニウムとは?

アルミニウムは、非鉄金属の中で最も一般的な材料です。
鉄系の金属とは違った特徴がたくさんあるため、幅広い用途で使われています。
そんなアルミニウムは、比較的歴史が浅い金属であり、発見されてから200年ほどしか経っていません。
なぜ最近まで発見されなかったのかというと、アルミニウムが様々な化合物として鉱物や土壌に存在している材料だったからです。
これにより、天然の金属として発見するのが難しく、最近まで日の目を浴びない状態でした。
アルミニウムを発見したのは、イギリスの電気化学者「ハンフリー・デービー氏」です。
その後、塩化アルミニウムから金属アルミニウムの取り出しに成功したことがきっかけで、工業に用いられるようになったのです。
アルミニウムの特徴
では次に、アルミニウムの特徴について詳しく見ていきましょう。
軽い

アルミニウムは、他の材料と比較しても非常に軽量です。
重さは鋼材の約3分の1程度であり、その軽量性を活かして輸送機器や建築資材、モバイル家電など様々な分野で使われています。
サビに強い
サビにくいということも、アルミニウムの特徴です。
アルミニウムは現在、鉄に次ぐ金属として様々な製品に使われていますが、これは耐食性に優れているからです。
というのも、アルミニウムは常温の大気中でも酸化が進行し、表面に厚さ0.2ミクロンほどの酸化膜が生成されます。
このようなことから、非常にサビにくく使いやすい材料となっているのです。
強度が高い
アルミニウム自体にそこまでの強度はありませんが、他の金属と合金化することによって、さらに強度が増します。
特に、亜鉛とマグネシウムを加えたジュラルミン系のアルミニウムは強度が高く、航空機や大型構造用の材料として活躍しています。
加工しやすい
加工がしやすいことも、アルミニウムの特徴です。
アルミニウムは塑性加工にも向いていますし、鋳造にも向いています。
また、切削加工もしやすく、溶接も可能です。
このように、様々な加工方法を取り入れられるため、日用品をはじめとする様々な製品に用いられているのです。
熱伝導率が高い
アルミニウムは、熱を通しやすい金属です。
熱を通しやすい金属には銅も含まれますが、銅はアルミニウムよりも価格が高いため、コスパの面で劣ります。
一方、アルミニウムは熱を通しやすく、それでいて熱伝導率が高いため、熱交換機や放熱板など様々な製品に使用されています。
電気伝導率が高い
アルミニウムは、熱だけでなく電気を通しやすいという性質も持っています。
先ほど紹介した銅も電気伝導率が高い金属の1つですが、アルミニウムは銅に比べて3倍近い電気伝導率を誇ります。
さらに、コストも安いため非常に使いやすい素材といえるのです。
ちなみに、アルミニウムは送電線に使用されることもありますが、この場合は強度が強いアルミ合金を使用するケースが多いです。
再生しやすい
近年では、環境に配慮したものづくりが求められています。
アルミニウムは、長時間使用しても劣化しにくく、なおかつ融点も低いため、製品を溶かして再利用しやすいです。
再利用時のエネルギーは、新品を作る場合と比較してわずか3%程度となり、それでいて新品同様の品質を維持できるため、環境だけでなくコスパにも優れた素材といえます。
磁性がない
アルミニウムは、非磁性体の素材となるため、磁場の影響を受けません。
このようなことから、パラボラアンテナや船の磁気コンパス、電子医療機器などに使用されることが多いです。
また、テクノロジーが進化している昨今においては、リニアモーターカーなどにも使われ始めています。
反射性が高い
反射性が高いことも、アルミニウムの特徴です。
アルミニウムには、熱や光を通すだけでなく、反射させる力を持っています。
純度を高めたり、鏡面加工を施したりすることにより、反射率がさらに上昇します。
このような性質を活かし、現代では暖房の反射板や宇宙服などに活用されているのです。
毒性がない

どれだけ利便性が高い金属でも、毒性があれば加工が難しくなります。
しかし、アルミニウムは土壌や作物、海水や空気中にも含まれている成分であり、毒性がありません。
アルミニウムは食用ではありませんが、仮に人間が口にしてしまったとしても約99%が排出されるため、無害といえるのです。
過去に健康被害が発生したこともなく、手に触れやすい製品や材料にも安心して使えます。
デザイン性が高い
アルミニウムは、無加工の状態でも美しい材料です。
アルマイト処理などを施すことにより、さらに美しい見た目になります。
また、電解着色などによって色をつけることも可能です。
このデザイン性の高さを活かし、現代では建築外装や包装材などに使用されています。
アルミニウムの代表的な種類
アルミニウムは、様々な特性を持つ金属ですが、純粋なままでは本来の強度を引き出せません。
そのため、用途に合わせて鉄やマグネシウム、銅などを加えるのが基本です。
以下、代表的なアルミニウムの種類について、詳しく見ていきましょう。
1000系
1000系のアルミニウムは、純度99.90%以上です。
非常に純度が高いため、先ほど紹介した熱伝導性や加工性、耐食性に優れています。
このようなことから、加工のしやすさは群を抜きますが、強度が低いです。
とはいえ、不純物が限りなく少ないため、製品や設備のカバ-や装飾などに用いられています。
2000系
2000系のアルミニウムは、1000系に比べて強度が高いです。
ジュラルミンと呼ばれる合金が、2000系の代表格です。
銅を加えることによって耐食性は若干下がりますが、その分強度が上がります。
このようなことから、航空機や自動車部品に使用されることが多いです。
5000系
5000系のアルミニウムは、マグネシウムを添加し、強度と耐食性を強化したものです。
マグネシウムの量に応じて特徴が変化するため、装飾用から構造用まで幅広く活用できます。
他の種類に比べて合金のバリエーションが豊富なことも、5000系の特徴といえるでしょう。
6000系
6000系のアルミニウムは、マグネシウムとシリコンを添加して、強度や耐食性、加工性を高めたもののことです。
中でも、押し出し加工に優れているため、構造材として使用されることが多くなっています。
7000系
7000系のアルミニウムは、亜鉛とマグネシウムを合金したもののことです。
熱処理を加えることによって、数あるアルミ合金の中で最高強度の合金となります。
7000系の代表格は、超々ジュラルミンと呼ばれるものであり、非常に高価ではありますが、その分強度や加工性が高く、航空機の材料として使われることも多いです。
アルミニウムの注意点
そんなアルミニウムには、以下のような注意点があります。
・鉄鋼材料と比べると若干強度が低い
・腐食が発生する場合もある
・溶接が難しい
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
鉄鋼材料と比べると若干強度が低い
アルミニウムは、強度に優れた金属であり、加工を加えればより強固な材料となります。
ただ、鉄鋼材料に比べると強度が低いです。
このようなことから、飛行機の翼のように柔らかくしなる構造物には向いていますが、歯車のような強度を求める部品には向いていません。
腐食が発生する場合もある
アルミニウム自体は耐食性に優れていますが、塩気が多い環境や他の金属との接触によって腐食する可能性があります。
製品や部品として使用するときは、環境や他の金属との相性についてしっかりと考えていくことが大切です。
また、アルマイト処理を行って腐食によるリスクを下げることもできます。
溶接が難しい
アルミニウムは、表面に酸化被膜を作りますが、融点が約2,000℃とかなり高いため、溶接をする際は酸化被膜を取り除かなければなりません。
また、先ほども解説したように、アルミニウムは熱伝導率が高く、融点が低いため、溶接をしたときの熱が伝わりやすく、場合によっては抜け落ちが生じてしまうこともあります。
このようなトラブルを避けるには、溶接トーチの速度を徐々に変えることが大切です。
ただ、溶接トーチの速度を変えると口でいうのは簡単ですが、いざ実践するとなるとかなり難しくなります。
製品の品質や生産性を高めたい場合は、実績豊富な業者に相談するのがおすすめです。
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加工性に優れているアルミニウムは、様々な製品に使用されています。
しかし、今紹介したようにアルミニウムは比較的加工難易度が高く、特に溶接においては高度な知識と技術を要します。
このようなことから、自社での加工が難しい場合は、実績のある業者に相談することが大切です。
とはいえ、自社にあった信頼できる外注先、あるいはパートナーを見つけるのはそう簡単なことではありません。
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まとめ
アルミニウムは、多くの特徴を持つ加工しやすい金属です。このようなことから、我々の身近にあるものにも使用されています。
そのままの状態だとアルミニウムが持つ強度を引き出せないため、用途に合わせて鉄やマグネシウム、銅などを加えることが多いです。添加する物質の種類や量によって特徴が変わるため、非常に利便性の高い金属ともいえます。
そんなアルミニウムは、特に溶接が難しく、品質や安全性を担保したい場合は実績のある業者に相談するのがおすすめです。
Taigaをご活用いただければ、アルミニウムの加工に強く、信頼できるパートナーを見つけやすくなります。
また、コミュニケーションや進捗管理における工数も軽減できますので、気になる方はぜひ一度ご活用ください。
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