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フレキシブル基板(FPC)とは?特徴・用途・構造を解説

フレキシブル基板(FPC)とは?特徴・用途・構造を解説

近年、電子機器の開発現場で注目されているのが「フレキシブル基板(FPC)」です。FPCは柔軟に曲げることができる基板で、小型化や軽量化が求められる製品に理想的です。

今回は、FPCの特徴や用途、製造工程について分かりやすく解説します。最後まで読めば、自社製品にどう活用できるかが見えてくるはずです。

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フレキシブル基板(FPC)とは

「フレキシブル基板」または「フレキシブルプリント基板」は、英語の「Flexible Printed Circuit」を日本語に訳したものです。略してFPCとも呼ばれます。「フレキシブル」とは「柔軟な」という意味で、その名の通り、FPCは自由に曲げたり折りたたんだりできる柔軟性が最大の特徴です。

FPCは薄い絶縁材料を基材として使用することで、柔軟性に加えて小型化や軽量化も実現しています。この特性により、スマートフォンやタブレット端末など、省スペース化が求められるデバイスで広く採用されています。

まずはFPCの基本情報をご説明します。

FPCの材料

FPCの材料として主に使用されているのは「CCL(銅張積層板、Copper Clad Laminate)」です。CCLは、絶縁体であるベースフィルムと導体箔から構成されています。

ベースフィルムには、耐熱性や柔軟性に優れたPI(ポリイミド)や、誘電率が低いLCP(液晶ポリマー)といった材料が採用されています。このベースフィルムを銅箔で挟み込み、加熱と加圧を行うことで、CCLが形成されます。

CCLは大きく分けて「2層」と「3層」の2種類があります。2層CCLは、ベースフィルムに銅箔を直接融着させた構造で、3層CCLは、ベースフィルムと銅箔を接着剤を使用して貼り合わせた構造です。

FPCの製造工程

ここでは、FPCが完成するまでの大まかな流れを説明します。

回路形成

まず最初に、FPCの基板となるCCL(銅張積層板)を製作します。その後、スルーホール加工と呼ばれる穴あけ作業を行います。

ドライフィルムレジストをラミネートし、露光と現像の工程を通じて回路パターンを形成します。レジストで覆われていない部分の銅箔を化学的に溶かし(エッチング)、必要な部分だけを残すことで回路が完成します。

カバーレイ処理

形成された回路を保護するため、基板全体にカバーフィルムを接着します。この処理により、絶縁層が形成され、外部からの影響を防ぐことができます。

表面処理

銅は空気中で酸化しやすく、そのままでははんだ付けや部品の搭載が難しくなります。そのため、防錆処理として表面処理を行います。多くの場合、ニッケルや金でめっき処理を施します。

外形加工

設計図通りに基板を正確に打ち抜き、必要に応じて補強板を貼り付けたり、部品を搭載したりして仕上げを行います。

電気検査や外観検査を実施し、問題がなければ梱包・出荷されます。

FPCの主な用途

FPCは、電子機器の部品として活躍しています。

  • スマートフォン
  • デジタルカメラ
  • PC
  • ディスプレイ
  • HDD(ハードディスクドライブ)
  • カーナビゲーションシステム
  • キーボード
  • 電卓

特にスマホでは限られたスペースに効率よく配線を収めることが求められるため、FPCが理想的な選択肢となっています。

FPCとFFCの違い

簡単に言えば、FPCは基板、FFCはケーブルです。FPCは先述の通り、フィルムの上に回路を形成しています。薄くて軽量、さらに自由に折り曲げられるという特長を持つ基板です。配線パターンを自由にデザインできるだけでなく、抵抗やチップなどの部品を実装することもできます。

一方、FFC(Flexible Flat Cable)は、銅箔を絶縁フィルムで挟み込んだ構造を持つケーブルです。FPCのように部品を実装することはできません。しかし製造コストが安く、短期間で生産できるため、単純な配線でよい場面ではFFCがよく選ばれます。

FPCの特徴

これまで電子回路基板として広く使用されてきたのが「リジッド基板」です。

リジッド基板は、ガラスや紙にエポキシ樹脂を含浸させて作られる硬い基板です。部品を直接固定しやすく、実装が容易という利点がありますが、設計の自由度が制限されることも少なくありません。

こうした課題を解決するのがFPCです。ここからは、FPCならではの特徴についてご紹介します。

小型化・軽量化が可能

FPCはフィルム状の基材に回路を形成するため、リジッド基板と比べて薄く、軽量です。

この特性により、スペースが限られるデバイスにも無理なく組み込むことが可能です。また、軽量であることから、持ち運びが前提とされる製品にも適しています。

例えば、スマートフォンやウェアラブルデバイスでは、FPCの薄さと軽さが大きな強みとなります。

折り曲げて組み込める

リジッド基板は硬い絶縁体を使用しているため、曲げることができず、平らな配置しかできません。

一方、FPCは自由に曲げることができるため、立体的な配線や可動部分の配線にも対応可能です。例えば折りたたみスマホのヒンジ部分では、画面の開閉時に配線が動く必要がありますが、FPCであれば問題ありません。

FPCの柔軟性は、電子機器の設計自由度を大きく広げ、より革新的な製品開発を後押しすると言えるでしょう。

熱に強い

リジッド基板は紙やガラス布を基材とし、フェノールやエポキシ樹脂を組み合わせて作られています。熱や水分の影響を受けやすく、耐久性に課題があります。

一方、FPCは耐熱性に優れており、100℃を超える高温環境でも長期間安定して使用することができます。

そのため、自動車のエンジンルーム内や、工場設備のような、自身が熱を発するような環境でも性能を発揮します。また、温度変化が激しい場所でも安定して動作するため、様々な用途で採用が増えています。

組み立てコストを削減

電子製品の製造工程では、基板の実装、配線作業、ケースの組み立てなど、さまざまな手間がかかります。

リジッド基板の場合、基板と配線が別々になっているため、コネクタやケーブルを使った接続が必要になります。これにより、人件費や設備費が増加し、製造コスト(組み立て費用)を抑えるのが難しいという課題があります。また、部品の配置ミス、不安定な動作といった不具合が発生しやすいのもデメリットです。

一方で、FPCは基板と配線が一体化しているため、コネクタやケーブルの使用を大幅に減らすことが可能です。部品点数が少なくなれば組み立て作業が簡素化され、製造コストの削減が実現します。また、不良発生率も減少するため、全体の生産効率が向上するでしょう。

FPCの構造

FPCの構造は以下の4種類に分けられます。

  • 片面構造
  • 両面構造
  • 多層FPC構造
  • フレックスリジッド構造

それぞれの特徴をご紹介します。

片面構造

「片面構造(片面FPC)」とは、片面にのみ回路(導体パターン)が配置されたFPCです。

シンプルな構造なため、FPCの「柔らかい」「軽い」「薄い」という特徴を最大限に活かすことができます。主に、電子機器の狭いスペースに組み込みたい時に使われます。

ただし、片面にのみ回路を配置するため、部品を配置できるスペースが限られており、配線の自由度は低めです。そのため、複雑な回路や多機能が求められる場合には、他の構造を検討したほうがよいでしょう。

両面構造

「両面構造(両面FPC)」は、両面に回路が配置されたFPCです。

表と裏が利用できるため、FPCを2枚に分ける必要がありません。配線密度が高くなり、部品を両面に搭載することもでき、さらにスペースの有効利用が可能になります。

ただし、片面構造に比べて可動耐久性が弱まってしまう点には注意が必要です。

多層FPC構造

「多層FPC構造」は片面FPCや両面FPCを組み合わせ、回路を積層化(多層化)したFPCです。特に、通信機器や医療機器、航空宇宙分野のように、高機能と高信頼性が求められる製品で採用されています。

基板とケーブルを一体化しているためコネクタを省略でき、狭いスペースにも効率的に組み込めます。また、すべてが同じ材料と構造で構成されているため耐熱性にも優れ、過酷な環境下でも使用可能です。

ただし、片面や両面と比べて製造に必要な工数が倍以上かかるため、コストが高くなってしまいます。また、内層の回路パターンは目視で確認できないため、修正が難しいというデメリットもあります。

フレックスリジッド構造

「フレックスリジッド構造」は、FPCとリジッド基板を一体化させた構造です。FPCの柔軟性とリジッド基板の強度を同時に備えることができ、デザインの自由度がさらに高まります。

また、FPCとリジッド基板が一体化していることで、従来必要だったコネクタやケーブルを省略できる点も大きなメリットです。部品点数が減少し、組み立て工程が簡素化されるだけでなく、接続部分でのノイズ発生を防ぐ効果も期待できます。

まとめ

フレキシブル基板(FPC)は、薄い絶縁材料を基材としており、自由に曲げたり折りたたんだりできる柔軟性を持っています。そのため、リジッド基板では対応が難しい狭いスペースにも問題なく配置可能で、小型化や軽量化を実現できます。

ただし、FPCにはいくつかの構造があり、自社の製品に最適なタイプを選ぶには専門的な知識が必要です。選択を誤ると、製品の性能や製造工程に影響を与える可能性があるため、できるだけ早い段階で信頼できる専門家やメーカーに相談することをおすすめします。

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