セラミックの微細加工｜メリットや加工方法、業者の選び方を解説

耐熱性と耐久性が高いセラミックは、幅広い分野で活用される材料です。
近年では、強度の向上や小型化を目的に、セラミックの微細加工のニーズも高まっています。

しかし、「セラミックの用途や微細加工でのメリットは何？」「セラミックの微細加工はどんな業者へ依頼すればいい？」といった疑問を持つ方も多いかもしれません。

今回の記事では、セラミックの特徴や微細加工が注目されている背景、微細加工の概要やメリットについて解説します。
セラミックの微細加工を依頼する業者の選び方のポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

セラミックとは

セラミックとは、元々粘土などの天然物を焼成して作られる材料です。タイルやガラス、陶磁器などもセラミックの一種にあたります。

最近では、科学技術の進歩によって、酸化物・金属化合物・炭素単体などが含まれるすぐれた性質を持つニューセラミックも多く誕生しています。

セラミック微細加工の動向

セラミックは、耐熱性や耐久性の高さといった性質を活かして幅広い分野で活用されています。
たとえば、宇宙航空分野では、燃料効率向上や摩耗防止の観点からエンジン部品にセラミックが使用されています。

セラミックの強度を高めるために表面には小さな凹凸のあるディンプル加工が施されますが、ディンプル加工を行う上で必須となる技術が微細加工です。

また、医療分野では小型化や耐久性の向上を目的に、微細加工が施されたセラミックが医療機器の部品や部材として活用されています。

セラミックそのものの性質を高めるためにも、セラミックの微細加工のニーズは高まっていくことが予想されます。

微細加工とは

微細加工とは、一般的にはミクロン単位での細かい加工を施す加工方法のことを指します。
対象となる材料は金属や樹脂などで、近年ではセラミックでも微細加工が可能です。

微細加工には、他の加工方法にはないさまざまなメリットがあります。

微細加工のメリット

微細加工には、以下のようなメリットがあります。

• 製品の精度や品質が上がる
• 加工効率やコスト面で有効
• 小型化や軽量化にも有効

微細加工は機械とデータを使用し、ミクロン単位での加工を実現できます。
製品の寸法精度を向上させることで、品質を高めることにもつながるでしょう。

また、スピーディに加工ができるため、加工効率の向上や不良品の発生防止によるコスト削減も可能です。
微細な加工を行うことで小型化や軽量化を目的とした製品製造にも多く活用することができます。

セラミックの微細加工が用いられるシーン・業界

セラミックの微細加工は、以下のようなシーンや業界で活用されています。

• 航空宇宙（エンジン部品の表面加工）
• 医療（人工関節の表面加工など）
• 自動車産業

セラミックの耐久性や軽量性は、さまざまな分野でも活用されており、今後もニーズの増加が予想されます。

セラミックに微細加工を施すメリット

セラミックに微細加工を施すことで、セラミックの持つさまざまな性質の向上につながります。
セラミックに微細加工を施すことによるメリットを解説します。

ディンプル加工による強度アップ

ディンプル加工とは、製品の耐久性向上を目的に、素材の表面に微細な凹みを施す加工のことです。

微細加工では、より精度の高いディンプル加工が可能です。

このように、セラミックの微細加工は、厳しい環境下で使用されるセラミック部品の耐久性向上にも活用されています。

凹凸形状加工による摩擦抵抗の低下

摩耗抵抗の低下を目的に、セラミックの表面に凹凸形状加工を行うことがあります。この際も、微細加工が用いられています。
たとえば、セラミックのエンジン部品の表面に凹凸形状加工を行うことで、摩耗抵抗が少なくなり、エンジンの燃費効率アップを実現可能です。

また、セラミック製のベアリングの表面に凹凸形状加工を施せば、潤滑油の使用量の低減や、ベアリングの長時間使用を実現することもできます。

そのほか、人工関節に使用するセラミックの表面にも、摩耗抵抗を少なくする目的で、凹凸形状加工が施されています。

ザグリ加工による性質変化

ザグリ加工とは、セラミックの性質を変化させるために、素材表面に特定のパターンの溝を刻む加工のことです。
ザグリ加工によって表面積が増えることで、反応性や吸着性が向上し、液体やガスの流れの改善・熱伝導性アップといった効果が得られます。

微細加工によってセラミックにザグリ加工を施せば、セラミックの性質を大幅に向上させられるのです。

セラミックの微細加工方法

セラミックの微細加工には、主にレーザー加工または切削加工が用いられています。
それぞれの加工方法の特徴を紹介します。

レーザー加工による微細加工

レーザー加工とは、高エネルギーのレーザーをセラミックに当てて、微細加工を行う手法です。
硬度の高いセラミックでも、レーザーを集中してあてることで微細加工を実現することができます。

レーザーによる加工は、ディンプル加工や表面凹凸加工などの高精度な加工ができるだけでなく、小さなデザインや文字を掘るといった、美観の面でも活用されています。

切削による微細加工

マシニングセンタと呼ばれる工具を収納した機械を使用して、微細加工を行う方法です。

マシニングセンタに格納されている複数の工具の中から適切なものを選定し、プログラムしたデータをもとに微細加工を行います。

切削工具のほか、切削速度や切り込み、送り込みの深さなどの数値も制御できるため、高精度の微細加工を実現できます。

ただし、セラミックは硬度が高く、切削による微細加工では切削工具の摩耗が早くなるのがデメリットです。

適切な工具の選定と必要に応じた交換や冷却、さらにチッピングやクラッキングなどへの対策も求められます。

セラミックの微細加工を依頼する業者の選び方

セラミックは硬度が高く、加工が難しい材料のひとつです。

また、ディンプル加工や表面凹凸加工、ザグリ加工は正確かつ適切な加工を行わないとセラミックの性能が十分に発揮されません。
セラミックの微細加工を依頼する業者は、確かな技術と知識を持っているところを選ぶようにしましょう。

たとえば、ISO9001認証を取得している業者なら、顧客のニーズと規制要求事項に適合する製品を提供できる業者であるといえます。

特に、医療機器で使用するセラミックは品質と安全性の担保が必須のため、認証取得済みかどうかも業者の選定基準となるでしょう。

また、切削やレーザーといったさまざまな微細加工に対応できる業者なら、製作する部品の形状や用途に応じて、適切な加工方法が選定できます。

まとめ

セラミックの性質やメリットとともに、セラミックの微細加工のメリットや業者を選定するときのポイントを解説しました。

セラミックはさまざまな分野で活用されており、その分微細加工のニーズも高まっています。
セラミックの持つ性質を存分に引き出せる微細加工を実現させるために、十分な技術や信頼、実績のある業者を選定し、依頼するようにしましょう。

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