
近年、ドローン製造時の素材として「CFRP(炭素繊維強化プラスチック)」が注目されています。
とはいえ、CFRPを使ったドローン製造を検討しているとき「CFRPの特徴や他の素材との違いが知りたい」「CFRPを使った加工方法が知りたい」といった疑問を持つ方もいるでしょう。
CFRPの素材の特性や加工方法を理解することで、より適切な業者選びや設計が可能です。
そこで本記事では記事では、CFRPの特徴や他の素材との比較に加えて、ドローン製造におけるCFRPのメリットや加工方法を解説します。
CFRPを使ったドローン製造を検討している企業担当者の方は、ぜひ最後まで参考にしてください。
目次
CFRPとは?ドローン製造で注目される理由

CFRPとは、「Carbon Fiber Reinforced Plastics」の略で日本語では「炭素繊維強化プラスチック」といいます。
まずは、CFRPの特徴や他の素材との違いについて解説します。
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の特徴
CFRPは、プラスチックを炭素繊維で強化して作られる複合材の一種です。
全体の約50~60%が炭素繊維から構成され、残りがエポキシなどの樹脂からできています。
プラスチックと炭素繊維を複合することで、それぞれが単一の場合よりも優れた性質や特性を発揮するのが魅力です。
例えば、CFPRはプラスチックよりも比重が小さく軽量であることから、重さは鉄の1/4以下です。
また、炭素繊維単品の場合は鉄の10倍以上の強度を発揮しますが、CFRPは軽量ながら鉄と同等、またはそれ以上の剛性を持ちます。
アルミや樹脂素材との比較
アルミとCFRPを比較すると、CFPRの重量はアルミの約2分の1、振動減衰率はアルミの約3~4倍です。
アルミよりも軽量でありながら高い振動抑制効果を発揮し、アルミを含めた金属よりも高い耐疲労性を持つのが特徴です。
また、CFPRは炭素繊維がハニカム構造でできていることから、金属のように疲労によって劣化しにくく、破損しにくい性質を持っています。
炭素繊維の方向性や樹脂の種類によっても異なりますが、金属のように熱膨張が起きることもありません。
金属のように腐食も起きないため、温度変化による寸法の変化や腐食による性質の劣化が許されない、精密機器などの部材にも向いています。
なお、樹脂素材とCFRPを比較すると、樹脂は等方向材料であるのに対して、CFRPは繊維と樹脂を組み合わせた異方向材料です。
そのため、繊維の配向や方向、材料種類を変えることで剛性を変えたり、金属や樹脂では製作できない形状の部材を作ったりといったことにも対応できます。
ドローン製造でCFRP加工を用いるメリット
CFPRは、その特性からドローンの部材としても向いています。
ここでは、ドローン製造でCFPRを用いることで得られるメリットを解説します。

軽量化による飛行時間の延長
CFRPの比重は1.8前後と、鉄の1/4程度の軽さのため、ドローンの軽量化が実現できます。
軽量にすることで燃費と飛行効率が上がり、ドローンの飛行時間の延長につながるのがメリットです。
操作性の向上
CFRPを採用することで、ドローンの部品の剛性を高めることが可能です。
引張やねじれに対して強さを発揮できるため、ドローンの操作性の向上にもつながります。
耐久性アップ
CFRPは、鉄などの金属と比べて高い強度や弾性率を持っています。
これにより、ドローンの軽量化と耐久性両面での向上が実現できるため、さまざまな環境下で飛行できるドローンの製造が可能です。
ドローンでCFRPを採用する際の主な加工方法
ドローンの素材としてCFRPを採用する場合のおもな加工方法は「切削加工」と「3Dプリント」の2種類です。
ここでは、切削加工と3Dプリントの特徴について解説します。
切削加工
切削加工は、樹脂や金属などの材料を切削工具を使って削りながら必要な形状に加工する方法です。

CFRPを含めたカーボン材質の材料は、切削加工でも加工できます。
ただし、CFRPの切削加工は難易度が高めです。
CFRPの切削加工を検討する場合、実績や技術力の高い加工業者を選ぶ必要があります。
3Dプリント
3DプリンターでもCFRPを含めた多くの材料の加工が可能です。
CFRPの特性である、モデルの強度、弾性、コストなど重視したいポイントに合わせてある程度自由に造形を変えることもできます。
CFRP対応の3Dプリンターを検討する場合、設備やコスト面などを考えて利用する3Dプリンターを選択しましょう。
ドローン製造でよく使われるCFRPパーツ例
ドローン製造において、CFRPが採用されることが多いパーツを順に解説します。
フレーム
一般的なドローンのものから競技用まで、ドローンのフレーム部分にはCFRPが多く使用されます。
アーム(パイプ)
競技用や空撮用の小型のドローンから、農業用や空中散布用の大型ドローンまで、さまざまなドローン製造においてCFRPが使用されています。
なお、業者によっては、あらかじめ対応できる寸法が定まっていることもあります。
プロペラ

CFRPは、ドローンのプロペラにも多く使用されます。
ほかの素材のプロペラよりも飛行時の静音性が高くなるため、撮影用など静音性が求められるドローンの製造に最適です。
CFRPの質感を活かした、スタイリッシュな風合いのプロペラに仕上がるのもメリットといえます。
ドローン製造におけるCFRP加工で注意すべきポイント
ドローンのパーツ製造でCFRPを使用する場合、加工時にはさまざまな注意点があります。
CFRPを使ったドローン製造を成功させるために覚えておきたいポイントを順に解説します。
切削難易度が高いため、技術者のスキルが必要
CFRPは軽量で耐久性が高いほか、調整によって剛性を変えられる特性があります。
しかし、繊維層が剥離しやすく時間がかかるため、切削加工の難易度は高めです。
切削加工でCFRPのドローン製造を検討している場合、高い技術や実績のある業者を選ぶ必要があります。
工具が摩耗しやすい
CFRPは、切削加工時に工具が摩耗しやすいデメリットがあります。
加工で微小な炭素粒子が発生し、工具を削ってしまうためです。
切削工具の寿命が下がってしまう原因ともなるため、切削加工には対応できない業者も存在します。
加工時に生じる粉塵対策
CFRPの切削加工は、加工時に発生する粉塵対策が必要です。
発生した粉塵は、人体に対して以下のような悪影響を引き起こすリスクがあります。
- 皮膚に付着すると痒みが出る
- 吸い込むと肺が傷つく恐れがある
- 手に付着したまま擦ると怪我の原因になる
さらに、粉塵が機械のベアリング部分などに入り込むことで、ヤスリと同じ働きをしてしまい機械の摩耗や劣化を招きます。
CFRPの加工には、十分な粉塵対策が求められることを覚えておきましょう。
まとめ
本記事では、CFRPの特徴や他の素材との比較、ドローン製造におけるCFRPのメリットや加工時の注意点について解説しました。
CFRPは強度の高さ、軽量などの利点からドローンの部品としても多く採用されています。
ただし、難削材のため加工には技術が必要です。
CFRPを採用したドローンパーツの製造を検討しているときには、技術力と実績を持つ信頼できる業者へ依頼するようにしましょう。
CFRP加工を活用した部品製造を検討している方は、ぜひ「Taiga(タイガ)」をご活用ください。
Taigaは、無料で経験豊富な業者に相談できるサービスです。
難易度の高い部品や新規部品の開発、少量生産、試作から量産まで、コストを抑えつつ効率的に進めることが可能です。
Taigaに登録してみる