
板金加工といっても、切断、溶接など種類はさまざまです。その中でも、金属の板や管を曲げる「曲げ」はプレス加工の一つで、ベンディング加工とも呼ばれます。
今回の記事では、曲げ加工の種類や曲げRの計算方法、曲げ加工の限界について解説します。板金加工の中でも曲げ加工に挑戦しようと考えている方はぜひ最後までご覧ください。
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板金加工における曲げ加工とは
板金加工とは、金属の板を切断、曲げ、穴あけなどの加工を施し、さまざまな形状の製品を作り出す加工技術です。その中でも曲げ加工は、板金に曲げを加えて目的の形状を作るための重要な工程で、ベンディング加工とも呼ばれています。
この曲げ加工によって、箱型やL字型など、多様な形状の製品を生み出すことができます。身近な例では、スマートフォンや自動車のボディパーツ、家電製品の外装などに曲げ加工が用いられています。
曲げ加工は、専用の機械を用いて行われます。 プレスブレーキと呼ばれる機械が代表的で、これにより、正確な角度と形状に板金を曲げることができます。曲げ加工の精度は、最終製品の品質を左右する重要な要素となるため、高度な技術と経験が求められます。
板金加工における曲げ加工の種類
板金加工における曲げ加工は、主に以下の3つの種類に分けられます。
▼板金加工における曲げ加工の種類
- 型曲げ
- フランジ成形
- 送り曲げ
型曲げ
型曲げとは、金属素材を型に固定し、加圧して曲げる加工法です。金型の形状によって、V曲げやU曲げ、L曲げを行うことができます。
型曲げ加工では、板金の材質、板厚、曲げ角度などを考慮して適切な金型を選択することが重要です。金型の選択を誤ると、板金に傷がついたり、精度が出なかったりする可能性があるため注意が必要です。
また、型曲げは、最も一般的な曲げ加工の方法であり、比較的シンプルな形状の製品に適しています。大量生産にも対応しやすく、高い精度で曲げ加工を行うことができます。
フランジ成形

フランジ成形は、自動車のボディなどの複雑な湾曲を作る製品にも使われる加工法です。
フランジは、板金の強度を高めたり、他の部品との接合を容易にしたりする目的で設けられます。
例えば、箱型の製品を作る際に、フランジを設けることで、板金の強度を高め、箱の形状を安定させることができます。また、フランジに穴を開けることで、ネジ止めなどの方法で他の部品と容易に接合することが可能です。
フランジ成形には、基本的な「曲げフランジ」に加え、内側に湾曲する「伸びフランジ成形」、外側に湾曲する「縮みフランジ成形」があります。
送り曲げ

送り曲げとは、板材や金属を型に固定せず、ラインの中で順次曲げ加工していく加工方法です。
3本のローラーを使って金属を曲げる加工方法を「ロール曲げ」と呼び、複数のロールを使って連続して加工する方法を「ロール成形」と呼びます。
送り曲げは、単純な円断面のものから複雑な断面形状のものまで幅広く加工できる技法です。
曲げRの計算方法
曲げ加工において、曲げRは製品の品質、強度を左右する重要な要素です。設計段階で適切な曲げRを決定することは、高品質な製品を作る上で欠かせません。ここでは、曲げRの定義と計算方法について解説します。
曲げRとは
曲げRとは、曲げ加工によって形成される曲線部分の半径のことです。
板金を曲げると、内側には圧縮応力、外側には引張応力が発生します。この応力集中により、曲げRが小さすぎると、板金に亀裂が入ったり、破断したりする可能性があります。
一方、曲げRが大きすぎると、製品の形状が不正確になったり、強度が低下したりする可能性があります。
適切な曲げRは、板金の材質、板厚、曲げ角度、そして製品の用途によって異なります。
曲げRは、製品の設計段階で決定する必要があります。設計者は、板金の材質、板厚、曲げ角度などを考慮し、適切な曲げRを決定しましょう。
曲げRの計算式
曲げRの計算式は以下の通りです。
L=A+B+(R+T×λ)×2п×θ/360 |
L=展開寸法
A・B=曲げ応力のない部分の長さ
R=曲げ内R(半径)
T=板厚
θ=曲げ角度
λ=中立軸移動率(%)
曲げ展開寸法は、曲げRから中立軸までの距離を求めれば計算できます。直線部分A・Bはそのままの数値を使用します。曲げ部の中立軸移動率(λ:ラムダ)は、材料の板厚や硬度、曲げ角度、内曲げRによって異なります。
曲げ加工の2つの限界
加工限界とは、材料の特性や加工機械の性能によって決まる、加工可能な寸法、形状、精度などの範囲を指します。ここからは、曲げ加工の限界を2つご紹介します。
▼曲げ加工の2つの限界
- 加工する板厚による溝幅の限界
- 金型の干渉による加工範囲の限界
加工する板厚による溝幅の限界
加工する板厚が金型の横幅より狭すぎると、金属素材が反ってしまったり、曲げ傷が深くなったりしてしまい、限界を迎えます。
そのため、曲げ加工を行う際には限界内の適切な金型の溝幅を選択しなければなりません。
金型の干渉による加工範囲の限界
金型の干渉による加工可能な限界値は、設計内容や加工メーカーによって異なります。
「ヤゲンの断面形状シート」と「リターンベンドの限界グラフ」を利用することで、曲げ加工が可能か、または通常の型で曲げることができるかを確認できるため試してみると良いでしょう。
まとめ
今回の記事では、曲げ加工の種類や曲げRの計算方法、曲げ加工の限界について解説しました。
板金加工における曲げ加工とは、板金に曲げを加えて目的の形状を作るための重要な工程です。曲げ加工には、型曲げ、フランジ成形、送り曲げの3種類があり、目的に応じて方法を選択する必要があります。
また、曲げ加工を行う前には曲げ加工によって形成される曲線部分の半径を示す曲げRの計算を行わなければなりません。曲げ加工を行う際には、事前によくリサーチをして入念に準備を行いましょう。
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