CFRPの6つの成形方法を徹底解説！利用される場面と課題も列挙

CFRPの製造ライン構築において、成形方法の選択は初期投資や生産効率を左右する要素です。そのため、製品の要求品質や生産規模に応じて、最適な成形方法を選択する必要があります。

この記事では、成形と加工の基本的な違いから、成形方法の特徴、適用される場面まで詳しく解説します。生産現場で発生しやすい課題や対策についても説明するので、CFRP製造を検討している方は、ぜひご参照ください。

CFRPの成形とは？加工との違い

CFRPは、炭素繊維と樹脂を組み合わせた複合材料です。軽量かつ高強度という特徴を持ち、CFRPの比重は鉄と比較すると約1/5と言われています。

また、設計の自由度が高く、航空機、自動車、スポーツ用品など、さまざまな分野で利用されています。

CFRPの製造においては、材料を目的の形状に成形する工程が重要となります。成形は、型を使用して材料を加工し、製品化することです。

加工には切削加工、ウォータージェット加工、レーザー加工などさまざまな種類があり、成形加工もその一つです。材料を切ったり削ったり、材料同士を接合してつないだりすることを加工と呼びます。

CFRPの成形方法

CFRPは航空機や自動車など幅広い分野で使用されていますが、作る製品によって効率的な成形方法が異なります。ここからは、CFRPの成形方法を6つご紹介します。

オートクレーブ（AC）成形

オートクレーブ成形は、CFRPの成形方法の中でも一般的な方法の一つです。プリプレグを型に積み重ね、オートクレーブと呼ばれる圧力容器内で加熱・加圧することで成形を行います。プリプレグとは樹脂をあらかじめ予備含侵させた炭素繊維シートのことです。

この方法の特徴は、高品質な製品を成形できることです。複雑な形状の製品にも対応でき、航空機の主翼や胴体など、高い強度と精度が求められる部品にも用いられています。

オーブン成形 

オーブン成形は、オートクレーブ成形と同様にプリプレグを型に積み重ねて成形する方法ですが、オートクレーブの代わりにオーブンを使用します。

オートクレーブ成形に比べて設備コストが低いですが、複雑な形状の製品の成形には向いていないため注意が必要です。

RTM/VaRTM成形

RTM成形は、型内に炭素繊維を配置し、樹脂と硬化剤を混合したものを注入して成形する方法です。VaRTM成形は、RTM成形を真空状態で行う方法で、近年ではVaRTM成形が主流になっています。

また、RTM/VaRTM成形は、航空宇宙や自動車業界でよく使用されています。

フィラメントワインディング（FW）成形

フィラメントワインディング成形は、炭素繊維をマンドレルと呼ばれる芯材に巻き付けながら樹脂を含浸させ、硬化させて成形する方法です。

パイプやタンクなど、円筒形の製品や、強度の高い製品の成形に適しています。また、炭素繊維の巻き付け方向を制御することで、製品の強度や剛性を調整することができます。

シートワインディング成形

シートワインディング成形は、プリプレグシートをマンドレルに巻き付けながら加熱・加圧し、硬化させて成形する方法です。

円筒形の製品の成形に適しており、ゴルフシャフトや釣り竿にも使用されています。

引抜（プルトルージョン）成形

引抜成形は、炭素繊維を樹脂に含浸させ、型から引き抜いて成形する方法です。

断面形状が一定の棒状やパイプ状の製品を連続的に成形することができ、比較的コストを抑えて生産することができます。

CFRPの成形工程で発生する課題

CFRPの成形工程は、航空機や自動車、スポーツ用品など、さまざまな分野で高性能な製品を生み出すために欠かせないプロセスです。しかし、CFRPの特性上、成形工程ではいくつかの課題に直面することがあります。

ここからは、CFRPの成形工程で発生する課題を4つご紹介します。

▼CFRPの成形工程で発生する課題

• 樹脂が付着する問題
• 作業効率が低下する問題
• 品質とコストに関わる問題
• 安全性に関わる問題

樹脂が付着する問題

CFRPの成形工程では、型や工具に樹脂が付着することがあります。特に、エポキシ樹脂が型などにくっつきやすいと言われています。これは、樹脂の粘度や硬化条件、型の表面処理など、さまざまな要因が影響する複雑な問題です。

樹脂が付着すると、成形品の表面に凹凸や欠陥が生じ、外観の品質が低下する可能性があります。成形工程で離型剤の塗布が必要になるのはもちろん、型やローラーなど各種部材への付着防止対策が不可欠です。

作業効率が低下する問題

CFRPの成形工程では、樹脂が付着する問題から離型剤の塗布が必要です。また、塗布だけでなく離型剤の洗浄作業も必要で手間がかかります。そのため、手作業による時間的ロスがかかり作業効率が低下してしまうのです。

さらに、複雑な形状の製品を成形する場合には、作業者の熟練度が求められ、作業時間や人件費が増加する傾向があります。

品質とコストに関わる問題

CFRPの成形工程では、作業者による離型剤塗布のムラが出てくることもあります。そのため、品質にばらつきが生じてしまう可能性があるのです。

また、作業者によって塗布にムラがあると、離型剤の使用量増加によるコストが上がってしまうことも課題になります。

離型剤による生産性の低下や作業者によるムラを解決するためには、離型剤の代わりに表面処理（コーティング）を活用することで改善できます。

安全性に関わる問題

CFRPの成形工程では、有機溶剤の揮発による呼吸器系への悪影響も問題として挙げられています。また、皮膚に直接接触すると炎症や化学熱傷が発生するリスクもあります。

さらに、目への飛散による眼刺激や損傷の可能性があるなど、作業者の安全確保のために、適切な対策を講じる必要があります。

まとめ

今回の記事では、成形と加工の基本的な違いから、成形方法の特徴、適用される場面まで詳しく解説しました。

CFRPでは、型を使用して材料を加工して製品化する成形が重要です。CFRPの成形方法にはさまざまな種類があり、製品によって成形方法を選択する必要があります。

また、CFRPの成形工程では樹脂の付着や安全性に関わる問題への対策も講じなければなりません。

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