
樹脂の軽量性と炭素繊維による耐久性を両立させたCFRPは、機器の軽量化をはじめ、さまざまな用途・目的で用いられる材料です。
CFRPの部品や製品製造のために切削加工を検討しているものの「CFRPの切削加工は難しい?」「依頼できる業者はいる?」といった疑問を持つ方も多いかもしれません。
今回の記事では、CFRPの性質や似ている素材であるカーボングラファイトとの違いに加えて、CFRPの切削加工の難しさや切削加工時の注意点について解説します。
CFRPの切削加工を依頼できる業者の選び方も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Taigaで技術提案を受ける目次
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)とは?
CFRPとは、樹脂に炭素繊維を加えて強化した素材のことです。
鉄と比較すると約5分の1、アルミニウムの約2分の1 の重量といった軽量性と、金属にも匹敵する高い強度を両立させています。
ほかにも、耐食性や衝撃吸収性など、さまざまな性質をバランスよく持っている素材です。
CFRPに似たカーボングラファイトとは
カーボンブラファイトとは、グラファイト・黒鉛・ブラックリード・石墨といったカーボン(炭素)からのみ形成される材料のことです。
カーボンを焼成して作られるため、セラミック素材の一種に含まれます。
また、CFRPと似ている素材にはCCコンポジットもありますが、CCコンポジットは黒鉛グラファイトを、炭素繊維で強化している素材です。
CCコンポジットはCFRPと同じく軽量性がありますが、樹脂は成分に含まれていません。

CFRPの切削加工が難しい3つの理由
CFRPは用途に応じて、切削加工による加工が求められることがあります。
ただし、CFRPは切削加工が難しい難削材のひとつです。
ここでは、CFRPの切削加工が難しいと言われる主な理由を順に解説します。
強度が高く、繊維層が剥離しやすい
CFRPは、炭素繊維を使うことで金属に匹敵する高い強度を誇ります。
そのため、切削加工時に工具を当てると炭素繊維の繊維層が剥離しやすく、効率よく加工が進められないのがデメリットです。
加工に時間がかかりやすい点でも、CFRPの切削加工は難しいといえるでしょう。
工具が摩耗しやすい
CFRPは硬度が高い素材のため、切削加工で使用する工具が摩耗しやすいデメリットがあります。
一般的に、金属の切削加工では工具の摩耗防止や加工効率の向上のために切削油が使用されます。しかし、CFRPは素材の特性上切削油を使用することができません。
そのほか、切削加工を適切に進められる工具の選定や、必要に応じた工具の交換を行いながら加工をしなければいけない点でも、CFRPの切削加工は難しいといえます。
加工によって生じる粉塵は人体に悪い影響がある
CFRPの切削加工時は、切削した箇所から粉塵が発生します。
粉塵が皮膚につくと痒みが発生したり、吸い込むと人体に悪影響があったりするため、対策が必要です。
粉塵が発生しないための作業環境を整える面でも、CFRPの切削加工のハードルは高いといえるでしょう。
CFRPの切削加工における注意点
CFRPは難削材であるため、切削加工を進めるためにはさまざまな点に注意が必要です。
CFRPの切削加工で覚えておきたい注意点を順に解説します。
CFRPの切削加工には切削油は使えない
CFRPは、油分を吸収しやすい性質を持っているため、金属などの切削加工で使用する切削油が使用できません。
誤って使ってしまった場合、CFRPに吸着してしまった切削油が取れずに残ってしまうリスクがあります。
また、切削油なしで効率よく加工を進めるためには、高い技術力も求められます。
異方性を考慮した加工が必要
CFRPは、樹脂と炭素繊維を使った異方性材料のため、切削加工時は繊維の方向や積載構成、マトリクス材の樹脂の特性などを踏まえた上で加工を行わなければいけません。
繊維の方向や量、積層構成によって加工抵抗が異なったり、使用している樹脂によって熱特性が異なったりするためです。
CFRPの切削加工を成功させるには、CFRPだからこその異方性を考慮した加工ができる、専門的な知識やノウハウが求められます。
CFRPの切削加工に求められること
CFRPの切削加工は難しい一方で、不可能ではありません。
納得のいくCFRPの切削加工を実現するために、必要となるポイントを解説します。
適切な切削工具の選定
CFRPは硬度の高い素材のため、切削工具が摩耗しやすいデメリットがあります。
摩耗したままの工具で切削を行うと、CFRPの切削加工の精度に悪影響を及ぼしてしまいます。
そのため、超硬やダイヤモンドなどの適切な切削工具を選定することで、工具の摩耗を防ぎ加工効率の向上やコスト削減につながるでしょう。
切削速度の調整
CFRPの切削加工時は、工具の選定とともに適切な切削速度を選ぶことも重要です。
切削速度が早すぎると切削による熱が工具にたまりやすくなり、工具の摩耗を早めてしまいます。
切削速度が遅いと、加工面が荒くなったり、ビビリが発生したり、加工効率が悪くなったりといったリスクが発生します。
適切な切削速度に調整することで、高精度かつ効率的なCFRPの切削加工につながるでしょう。
CFRPの切削加工を依頼する業者の選び方
CFRPの切削加工によって納得のいく部品や製品を製造するには、依頼する業者選びが重要です。
CFRPの切削加工を依頼する業者を選ぶ際に、覚えておきたいポイントを順に解説します。
CFRPやカーボン素材の切削加工に対応しているか
まず、CFRPやカーボン素材の切削加工に対応している業者を選ぶようにしましょう。
CFRPは難削材のため、切削加工には適切な工具の選定や加工速度、加工条件の設定が求められます。
CFRPやカーボン素材の切削加工に対応している業者なら、専門的な知識やスキルをもって切削加工を進めてくれるでしょう。
依頼したい製品の加工実績があるか
CFRPは、軽量性と硬度の高さをはじめとしたさまざまな性質により、幅広い分野で活用されている材料です。
切削加工を検討している場合は、実際に製作したい製品の切削加工に対応しているか、加工実績があるかも確認しててください。
すでに依頼したい製品と同じ、または似ている加工実績を持っている場合は、希望通りの製品製作を実現できる可能性が高いでしょう。
納期までにかかる期間や加工費用
同じ材料を同じ条件で加工する場合でも、依頼する業者によって発生する納期や加工費用は異なります。
CFRPの切削加工に対応しているのはもちろん、納期や費用の面でも納得できる業者へ依頼するようにしましょう。
納期や費用を確認していないと、納期遅れやコストの圧迫といったトラブルが発生する可能性があります。
見積もりを請求するなどして、納期や費用を比較するのも業者の選定ポイントです。
まとめ
CFRPの性質やCFRPの切削加工が難しい理由、切削加工時の注意点や業者選定のポイントを解説しました。
CFRPに切削加工を施せば高精度での製品製作が実現するものの、切削加工そのものが難しく専門的な知識やスキル、技術が必要です。
CFRPの切削加工を検討しているときには、信頼できる技術力や対応力を持つ業者を選んで、依頼するようにしましょう。
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