CFRPの加工が難しい理由は？加工方法や自社・外注の判断まで解説

CFRP（炭素繊維強化プラスチック）は、その優れた特性から航空宇宙分野から自動車、スポーツ用品まで幅広い産業で活用されている材料です。しかし、加工するには特有の難しさがあり、適切な方法を選ばないと、製品の品質低下やコスト増加につながってしまいます。

この記事では、CFRPの加工が難しい理由から具体的な加工方法、そして自社加工と外注の選択まで、実務に役立つ情報を体系的に解説します。CFRPの加工に関わる方は、ご参照ください。

CFRPの加工が難しい理由

CFRPはさまざまな分野で活用されていますが、加工が難しい素材としても知られています。ここからは、CFRPの加工が難しい理由を解説します。

• CFRPの加工が難しい理由炭素繊維と樹脂の複合材料だから
• 加工中の粉塵が身体に良くないから油分が浸透しやすいから

炭素繊維と樹脂の複合材料だから

CFRPは、炭素繊維と樹脂の複合材料です。硬い炭素繊維が工具を摩耗させやすく、柔らかい樹脂部分は切れ味が悪くなるため、加工が難しいと言われています。

また、両者の切削特性が異なり、きれいな切断面が得にくいことも加工を難しくさせている理由の一つです。

加工中の粉塵が身体に良くないから

CFRPの加工では、微細な粉塵が発生します。皮膚に付着するとかゆくなったり、吸い込んでしまうと、肺に傷がつく恐れがあったりと注意が必要です。

そのため、CFRPの加工を行う際には、適切な防塵対策を講じる必要があります。作業者は、防塵マスクや保護メガネ、作業服などを着用し、粉塵の吸入や皮膚への付着を防ぐ必要があります。

また、粉塵は身体だけでなく機械への悪影響もあるため注意が必要です。

油分が浸透しやすいから

CFRPは、炭素繊維と樹脂の界面に微細な隙間があります。繊維に沿って油が内部まで浸透し、一度浸透した油は内部に残留してしまいます。

油があると他の部品との接着ができないため、加工が難しいと言われています。

CFRPを加工する方法

CFRPの加工には、さまざまな方法があります。それぞれの方法の特徴を理解し、加工対象物や用途に合わせて最適な方法を選択することが重要です。ここからは、CFRPを加工する方法を3つご紹介します。

切削加工

切削加工は、工具を用いてCFRPを削り、目的の形状に加工する方法です。高精度で立体的な形状も加工できます。

切削加工は、機械に取り付けたワークを高速回転させるNC加工、回転させた刃物をワークに対して当てるMC加工、NC加工とMC加工の機能を併せ持った複合加工といった種類に分けられます。

切削加工は、複雑な形状の加工や高精度な加工に適しています。しかし、工具が摩耗しやすいため粉塵対策が必要です。

ウォータージェット加工

ウォータージェット加工は、高圧の水流をCFRPに噴射して切断する方法です。CFRPの場合、水に研磨剤を混ぜたアブレシブジェット加工が主流と言われています。

ウォータージェット加工は熱の影響が少なく、切断面がきれいになるという利点があります。また、複雑な形状の加工にも対応できます。

ただし、水と研磨材の処理が必要で、非貫通の加工ができないため注意が必要です。

レーザー加工

レーザー加工は、レーザー光をCFRPに照射して切断や穴あけを行う方法です。レーザー加工にはさまざまな種類があり、CFRPの場合はCO2レーザーやファイバーレーザーが主流と言われています。

レーザー加工は非接触加工のため、加工応力の負荷が少なく、薄いものでも高い制度で加工することができます。

しかし、加工できる厚みに制限があることや有害ガス対策が必要といったデメリットもあります。

CFRP加工方法の選び方

CFRPの加工方法は、製品仕様や生産条件、環境対策の観点から選びましょう。厚みや面積、ランニングコスト、材料の歩留まりなどから判断することをおすすめします。

例えば、厚みのある製品を加工する場合、ウォータージェット加工が適しています。また、貫通させたい場合はレーザー加工を選択する必要があります。

CFRPを自社で加工するか外注化するか比較

CFRPは加工が難しいため、自社に設備や技術が無い場合は、外注することも視野に入れてみる必要があります。ここからは、自社加工か外注加工のどちらを選ぶべきか比較してご紹介します。

自社加工がおすすめの場合

CFRPの加工を自社で行うことは、

• コスト削減
• 納期短縮
• 品質管理の徹底
• ノウハウの蓄積

といったメリットがあります。外注する場合に比べて、加工費用を抑えることができ、自社で加工することで、納期をコントロールしやすくなり、短納期での対応が可能になります。

また、加工工程を自社で管理することで、品質を維持しやすくなるだけでなく、CFRP加工に関する技術やノウハウを蓄積することができます。

そのため、即日対応など短納期が多い場合や高品質を維持したい場合は自社加工がおすすめです。

外注加工がおすすめの場合

CFRPの加工を外注する場合には、

• 初期投資の抑制
• 専門知識と技術の活用
• 多様な加工への対応
• 生産量の変動への対応

といったメリットがあります。高価な加工設備や工具を導入する必要がなく、初期費用を抑えることができます。

また、CFRP加工の専門知識や技術を持つ企業に依頼することで、高品質な加工も可能です。さまざまな加工方法に対応している企業に依頼することで、複雑な形状や高精度な加工にも対応でき、生産量の増減にも対応しやすくなります。

納期にゆとりがある場合や自社にCFRPを加工する技術や設備がない場合は、外注加工を選ぶと良いでしょう。

まとめ

今回の記事では、CFRPの加工が難しい理由から具体的な加工方法、そして自社加工と外注の選択まで、実務に役立つ情報を体系的に解説しました。

CFRPは、炭素繊維と樹脂の複合材料であることや、油分が浸透しやすいことから加工が難しいと言われています。

また、CFRPには加工方法が複数あり、製品仕様や生産条件、環境対策によって適切な方法を選択する必要があります。

自社にCFRPを加工する技術や設備がない場合は、外注加工も検討してみましょう。

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