
軽量かつ強度の高い素材として知られるGFRPは、幅広い分野で用いられる素材です。
GFRPを使って部品や製品の製造を検討しているときに「GFRPの加工方法には何がある?」「GFRPの微細加工を依頼する業者の選び方は?」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。
今回の記事では、GFRPの特徴やメリット、用途や製品例とともにGFRPの微細加工方法や業者の選び方について解説します。
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GFRPとは
GFRPとは、ガラス樹脂をエポキシ樹脂とポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂などで固めたガラス繊維強化プラスチックのことです。
FRP(繊維強化プラスチック)の一種で、FRPの中では安価で手に入りやすい素材です。
GFRPの特徴・メリット
GFRPには、以下のようなメリットがあります。
- 軽い(比重が鉄の4分の1)
- 強度が高い(鉄の10倍)
- 比弾性率が高い(鉄の7倍)
- X線透過性がある
- 導電性がある
- 耐熱性が高い
- 耐候性が高い
- 低熱膨張性が高い
- 素材としてコストが安い
GFRPは、金属と同程度の強度や耐候性、耐熱性の高さと軽さを両立させた素材です。
X線透過性や導電性も持ち合わせているため、幅広い用途で活用されています。
GFRPの主な用途や製品例
GFRPはその性質から、以下のような用途や製品に活用されています。
- 自動車
- 鉄道車両
- 船舶
- 航空機の部品
- 小型船舶の船体
- 住宅設備機器(バスタブなど)
- スポーツ用品(ゴルフクラブのシャフト、テニスラケット、スキー板、釣竿、サーフボードなど)
- 公共用具(公園の遊具、ベンチなど)
- 通信分野(レーダードーム、通信用アンテナ)
- 建築分野(高架・地下理設水槽)
- 保冷車
- 保冷コンテナ
- MRI・CTカバー
- 印刷分野(プリント基板)

GFRP以外のFRP材
GFRP以外にも、FRP材には以下のような種類があります。それぞれの特徴を押さえておきましょう。
種類 | 特徴 |
CFRP(炭素繊維強化プラスチック) | ・炭素繊維を強化材として使用し、樹脂をマトリックス材とした複合素材・金属類と同等の硬度と軽量性を両立 |
CFRTP(炭素繊維強化熱可塑性プラスチック) | ・炭素繊維を強化材、熱可塑性プラスチックをマトリックス材とする複合材料・加熱すると軟化、冷却すると硬化するため、再利用が可能・高い強度と剛性、耐衝撃性がある・成形しやすい |
AFRP(アラミド繊維強化プラスチック) | ・アラミド繊維を強化材、樹脂をマトリックス材とした複合素材・強度にすぐれている・アラミド繊維が切れにくいため、自由な形状に加工しにくい |
DFRP(ダイニーマ繊維強化プラスチック) | ・ダイニーマ繊維を強化材、樹脂をマトリックス材とした複合素材・強度性と熱伝導性にすぐれている |
ZFRP(ザイロン繊維強化プラスチック) | ・ザイロン繊維を強化材、樹脂をマトリックス材とした複合素材・強度が高く、難燃性がある |
BFRP(ボロン繊維強化プラスチック) | ・ボロン繊維を強化材、樹脂をマトリックス材とした複合素材・強度と対弾丸性にすぐれている |
微細加工とは
GFRPの加工方法のひとつに、微細加工があります。微細加工とは、一般的にミクロン単位で微細な加工を施す手法です。
微細加工のメリット
微細加工には、以下のメリットがあります。
- 高精度の加工が実現する
- 加工効率が上がる
- コスト削減につながる
- 製品の小型化や軽量化に有効
ミクロン単位で加工を行う微細加工は、肉眼では確認できないレベルでの高精度の加工を実現できます。
そのため、医療機器や精密機器分野など、寸法精度が求められる分野で多く活用されています。
また、さまざまな微細加工の技術を組み合わせることで、効率的に高精度の製品を製造することが可能です。
微細加工によって製品の品質が上がれば、材料の無駄や不良品の削減によってコストを抑えることにもつながります。
微細で軽量な部品の加工も実現できるため、製品の小型化や軽量化を目的としているときの加工方法としても有効です。
GFRPの微細加工方法
GFRPの微細加工における具体的な加工方法を解説します。
切削による微細加工
鋭い切れ刃と耐久性を持つ工具と、加工機を使用し材料を削りながら微細加工を行う方法です。
3次元の形状や高精度の形状を成形できる一方で、バリや切りくずが発生しやすいデメリットがあります。

マシニングによる微細加工
マシニングセンタと呼ばれる微細加工を行う工作機械を使う加工方法です。
マシニングセンタには、フライス削りや穴あけなどの幅広い加工ができる複数の切削工具が格納されています。
レーザーによる微細加工
レーザー加工は、小さく集光したレーザー光線を材料にあてて、溶融や除去によって微細加工をする方法です。
曲線をつけたり、切断や穴あけをしたりといった加工が可能です。
対応できる材料の幅が広く、レーザー光線の種類も用途に応じて使い分けができます。
放電加工機による微細加工
形彫放電加工やワイヤ放電加工といった、電極と材料の間で放電を起こし、熱で材料を溶かしながら加工する方法です。
切削や研削による加工で歪みや変形を生じやすい材料に対して採用されます。
硬い素材でも、導電性があれば加工できますが、加工面の精度が低くなるため、研磨などの仕上げ処理が必要な場合が多いです。
GFRPの微細加工で求められること
GFRPを微細加工する際に、必要となる設備や対策など解説します。
高精度な加工機
GFRPの微細加工を成功させるためにもっとも重要なポイントは、高精度な微細加工が実現できる加工機を用意することです。
具体的には、制御精度が高いCNCマシンや、微細な加工が実現できるレーザー加工機などが該当します。
機械によって数ミクロン単位で材料を加工できるため、複雑な形状や細かい箇所の部品製造も可能です。
安定した温度管理
GFRPは、加工を行う環境の温度変化によって膨張または収縮する性質を持ちます。
加工環境の温度変化によって材料が変形すると、加工精度が低下する恐れがあるため、徹底した温度管理が必要です。
加工時の振動対策
微細加工はミクロン単位で加工を施すため、振動によって寸法がずれるなど、加工の品質に影響が出る恐れがあります。
工作機械や周辺環境からの振動を抑制するために、防振マットや振動を吸収する設計の工作機械を使用したり、振動の発生原因を排除したりといった対策が必要です。
高精度な測定器による品質管理
加工されたGFRPの部品や製品の精度確認・品質保証には、高精度の測定器が必須です。
具体的には、3D測定機やレーザースキャナー、顕微鏡などが該当します。
これは、加工されたGFRPの部品の寸法や形状を高精度で測定できるため、製品の品質保証面で役立ちます。
GFRPの微細加工を依頼する業者の選び方
GFRPの微細加工を依頼する業者を選ぶポイントとして重要なのが、ISO9001認証を取得していることと、工具設備が充実している業者を選ぶことです。
ISO9001認証とは、顧客のニーズに応える規制要求事項に適合する製品やサービスを一貫して提供できる企業であることを認証する基準です。
ISO9001認証を取得している業者なら、品質の高いGFRPの微細加工が実現できるでしょう。
また、微細加工は特殊な加工機を使用するケースが多いです。
そのため、設備が充実していれば、対応できる加工方法も幅広くなります。
GFRPの微細加工で、より良い提案や柔軟な対応も受けられるでしょう。
まとめ
GFRPの特徴やメリットとともに、GFRPの微細加工について解説しました。
GFRPの微細加工を利用すれば、高い寸法精度での加工が実現できますが、そのためには高い技術力と確かな品質保証ができる業者を選ぶことが重要です。
GFRPの微細加工による部品製造を検討している方は、ぜひ「Taiga(タイガ)」をご活用ください。
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