機械加工の基礎知識！加工方法や工作機械の種類を解説

「機械加工」とは、機械を使って目的の形に加工する技術です。

一言で「機械加工」と言っても多種多様な方法が存在し、材料や形状に応じて方法や機械を選ぶ必要があります。

そこで今回は、機械加工の基礎知識から、具体的な加工方法、そして代表的な工作機械についてわかりやすく解説します。最適な加工方法を見つけ、プロジェクトを円滑に進めるために、ぜひ最後までお読みください。

機械加工とは

「機械加工」とは、機械を使って、金属やプラスチックなどの素材を目的の形状に加工する技術です。英語では「Machining（マシニング）」と呼ばれ、製造業界では欠かせない技術の一つです。

たとえば、自動車や航空機、精密機器など、さまざまな製品の部品は機械加工によって作られています。

機械加工は、材料を削ったり、削り出したり、また部品同士を接合させたりしながら、最終的な形を整えていくことが特徴です。詳しい内容については、順を追って解説していきますので、ぜひ読み進めてください。

機械加工と金属加工の違い

「機械加工」と「金属加工」はよく混同されますが、どう違うのでしょうか。

機械加工は、機械を用いて形を整える工程を指します。一方、金属加工は金属に対する加工全般を指します。

つまり、機械加工も金属加工の一種であり、他に熱処理加工や表面処理なども含まれます。

機械加工方法の種類

機械加工は、加工の原理によって「除去加工」「成形加工」「結合加工」の3つに大別されます。ここでは、代表的な加工方法について説明していきます。

除去加工

「除去加工」とは、素材の不要部分を削り取って目的の形状や寸法に仕上げる加工方法です。

主な除去加工の種類を見ていきましょう。

切削加工

「切削加工」は、刃物を使って金属素材を削り取る加工方法です。「フライス加工」「旋削加工」「穴あけ加工」などに分かれます。

例えばフライス加工は固定された素材に、高速回転する刃物を押し当てて削り、形状を整えます。刃物の形状や角度を変えることで、平面や曲面、溝など多様な形状に加工できるのが特徴です。

研削加工

「研削加工」は、高速回転する砥石を用いて金属素材を少しずつ削り、形状を実現する加工方法です。刃物を使わないため時間がかかりますが、その分高精度が求められる部品の製造に適しています。

加工する面に応じて「平面研削」「円筒研削」「内面研削」に分類されます。

研磨加工

「研磨加工」は、砥石や研磨布紙などを使用して製品の表面を滑らかに仕上げる加工方法です。表面の凹凸をならし、バリを取り除き、製品の見た目や機能性を向上させます。

最も一般的な「砥石研磨」では、高速回転する砥石と素材を接触させて表面を加工します。他にも「研磨布紙加工」「ラッピング研磨」「テープ研磨」などの方法があります。

放電加工

「放電加工」は、放電によって発生する熱で金属を溶かして加工する方法です。金属を直接削るのではなく溶かしていくため、非常に硬い素材でも加工可能です。

放電加工には「ワイヤー放電加工」と「形彫り放電加工」の2種類があります。

ワイヤー放電加工は、細長い電極を用いて素材を切断していきます。コンピューターで走行経路を制御するため、複雑な形状も高精度に加工できます。

一方、形彫り放電加工は、目的の形に整えた電極を素材に近づけて、彫るように加工します。深い溝やコーナーの加工に適していますが、電極の製作にコストと時間がかかるのがデメリットです。

成形加工

「成形加工」は、型を使って素材を特定の形状に変形させる加工方法です。。

型が決まっているため品質のばらつきが少なく、大量生産に適しています。以下では、成形加工の代表的な方法について紹介します。

プレス加工

「press（プレス）」は英語で「押す」という意味です。「プレス加工」は、その名の通り、型で材料を押し付けて加工する方法です。

鉄鋼やアルミニウム合金などの薄い金属板がよく使用され、軽量で薄い製品に適しています。たとえば、スプーンや硬貨がプレス加工の代表例です。

板金加工

「板金加工」は、薄い金属板を型で挟み、曲げや穴あけ、打ち抜きなどを行う方法です。主に自動車や家電製品の筐体などに使われます。

プレス機を使用することで短時間で高精度に加工できるため、リードタイムが短く、コストも抑えられます。また、設計変更に対応しやすいことから、少量多品種の生産や試作品にも適しています。

鋳造

「鋳造（ちゅうぞう）」は、砂や金属で作られた鋳型に、溶かした金属を流し込んで成形する方法です。

鋳造は型の中に材料が均一に充填されるため、形状や寸法の安定した製品が大量に生産できることが特徴です。マンホールや鉄瓶、フライパンなどによく使用されます。

鍛造

熱を加えた金属を型で挟み、大きな力をかけて変形させるのが「鍛造（たんぞう）」です。

日本刀の製造をイメージしてください。日本刀では熱した金属を叩いて形を整えますが、機械加工ではハンマーではなく型を使って希望の形状にしていきます。

鍛造によって金属の組織が密になり、強度が高まるため、自動車や航空機の部品など耐久性が求められる製品に適しています。

結合加工

「接合加工」とは、異なるパーツや部品を組み合わせて、1つの製品を完成させるための加工方法です。シンプルに言えば、「物と物をくっつける」ための技術です。

結合加工は複数の部品から成る製品や、複雑な形状・機能が必要な製品を作り出す際には欠かせない加工方法で、以下のような種類があります。

溶接

「溶接」は、2つの材料の接合部分を溶かして材料同士を混ぜ合わせ、冷やして一体化させる方法です。接合部が非常に強固になるため、自動車や建設機械など、強度が求められる場面で用いられます。

溶接の方法にはいくつもありますが、代表的な方法は「アーク溶接」です。電流によって発生する高温（約5,000〜20,000℃）を利用して、金属を溶かし接合します。ほとんどの金属の溶解温度よりも高いため、幅広い材料に対応可能です。

溶剤接着

「溶剤接着」は、接着剤を使って材料同士を接合する方法です。

接着の際に熱が発生しないため、熱に弱い素材や、熱による歪みを避けたい場合に適しています。また、異なる素材同士を接合できる点も特徴です。

ただし、溶接と比べると接合強度は低くなるため、用途に応じて選択する必要があります。

ろう付け

「ろう付け」は、融点の低い金属を溶かし、接合部に流し込んで材料同士を結合させる方法です。中学の授業で経験した「はんだ付け」をイメージすると分かりやすいかと思います。

ろう付けの利点は、接合部分だけを加熱し、材料自体を溶かさずに結合できる点にあります。材料へのダメージを抑えられるため、精密な製品の組み立てや、熱に弱い素材の接合によく用いられます。

機械加工で使用する工作機械

機械加工に使われる装置を総称して「工作機械」と呼びます。用途や形状に応じて多種多様な種類が存在します。以下に、代表的な工作機械をまとめました。

旋盤

「旋盤」は、加工物を回転する土台に取り付けて、工具を当てて切削加工を行う機械です。加工物を回転させながら刃物を当てるため、特に円筒形の加工に適しています。

フライス盤

「フライス盤」は、刃物を回転させて素材を削る機械です。特に、平面を整えたい時に使われています。

旋盤と似ているように思えますが、フライス盤では刃物が回転し、旋盤では加工物が回転するという違いがあります。

ボール盤

「ボール盤」は穴をあけたり広げたりするための機械です。旋盤やフライス盤でも穴あけ加工は可能ですが、ボール盤はより正確でまっすぐな穴をあけられる点が強みです。

研削盤

「研削盤」は、高速回転する砥石を用いて、表面を少しずつ削る機械です。「グラインダー」とも呼ばれます。

自動車部品のクランクシャフトやベアリングなどの表面仕上げに活用されます。

プレス機

「プレス機」は、上下から圧力をかけて素材を成形する機械です。単純な動作で素早く加工が行えるため、大量生産に適しています。

金型を用いるため、品質が安定している点もメリットです。

ダイカストマシン

「ダイカストマシン」は、溶かした金属や合金を金型に注入し、成形する機械です。高速・高圧で流し込むためスピーディーで、大量生産が求められる家電や自動車部品の製造に適しています。

溶接機

「溶接機」は、熱や圧力を利用して部品同士を接合する機械です。代表的なのは「アーク溶接機」ですが、他にも「MIG溶接機」「TIG溶接機」「レーザー溶接機」などの種類があります。

放電加工機

「放電加工機」は、放電によって発生する熱で金属を溶かして加工する機械です。金属と加工機の間に電気を発生させ、5,000℃以上の高温で素材を溶かして加工します。特に硬度の高い素材に向いています。

マシニングセンタ

「マシニングセンタ」は、さまざまな工具を自動で交換し、複数の加工を連続して行う機能を備えた機械です。穴あけや切削など、複数の加工工程を1台で完結できるため、多様な製品製造に活用されています。

人の手による工具交換が不要なため効率的で、コスト削減につながる点も魅力です。

まとめ

今回は、機械加工の基礎知識から具体的な加工方法、工作機械の種類について解説しました。機械加工は素材を目的の形に整えるための重要な技術であり、選択肢が多岐にわたります。

そのため、すべての方法を理解し、製品に最適な加工方法を見つけるのは開発担当者にとって簡単ではないでしょう。

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