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切削加工は、金属にも対応した加工方法です。
しかし、「切削加工ができない金属はある？」「切削加工のデメリットはある？」といった疑問を持つ方もいるでしょう。
今回の記事では、金属の切削加工の概要に加えて、具体的な加工方法や加工機、注意すべきポイントを解説します。
切削加工がしやすい金属についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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金属の切削加工とは？
切削加工（せっさくかこう）とは、材料を工具で削り、好みの形状に仕上げる加工方法を指します。
ステンレスや鉄、アルミニウムなどの金属加工にも切削加工が用いられています。
ただし、素材の硬さや粘りに応じて適切な切削条件や工具を選定しなければいけません。
以下では、金属の切削加工の方法や加工機について解説します。
金属の切削加工で用いられる方法
金属の切削加工における主な加工方法は、以下の通りです。それぞれの特徴をあらかじめ押さえておきましょう。
| 切削方法 | 特徴 |
| 旋削加工 | ・回転している材料に工具を当てて移動させ、目的の形状や寸法に加工する方法・基本的にはボルトやシャフトなどの丸状の部品を製作する際に用いられる・手動で加工を行う汎用旋盤、数値制御によるプログラムにより移動で加工を行うNC旋盤、CNC旋盤がある |
| フライス加工 | ・固定した材料に回転する工具を当てて加工する方法で、表面を平面や曲面に加工することも可能・工具の交換や工具の制御などをすべて手動で行う汎用フライス盤、工具の制御を自動で行うNCフライス盤、工具の交換も自動で行うマシニングセンタがある |
| 穴あけ加工 | ・工具を回転させて素材に穴をあける加工・テーブルの役割をするボール盤、穴をあけるためのドリル、穴をあけた後に穴の精度を整えたり表面仕上げたりする工具（リーマ）が使われる |
金属の切削加工で用いられる加工機
金属の切削加工には、主に以下の加工機が使用されます。
| 加工機の名称 | 特徴 |
| マシニングセンタ | ・工具マガジンにさまざまな切削工具を内蔵した加工機・工程順に工具を自動で取り替えながらデータ通りの加工が可能 |
| NC旋盤 | ・材料を機械に固定し回転させ、工具刃物（バイト）を当てて削る金属加工を行う加工機・無段変速が採用されており、プログラムによって主軸の回転速度を指定できる |
| 同時5軸 | ・5軸加工機でX軸・Y軸・Z軸と、回転軸・傾斜軸を同時に動作させる加工機・自由曲面形状加工やアンダーカットが必要な複雑形状の切削加工に対応できる |
切削加工で用いられる金属｜加工しやすい材料はどれ？
ひと口に金属といっても、加工しやすい材料としにくい材料があります。
以下では、切削加工で用いられる主な金属を紹介します。
ステンレス系
ステンレスとは、鉄を主成分としてニッケルやクロムといった素材を混ぜた合金です。
耐久性が高く、錆に強いため、多くの製品製造に用いられています。
切削加工の材料として用いられる主なステンレス系合金は、以下の通りです。
| 名称 | 特徴 |
| オーステナイト系 SUS303、304、316など | ・ステンレスの約60％を占める・錆びにくく、伸びやすい |
| フィライト系 SUS430など | ・比較的錆びやすい、磁性を持つ・塩素に強い |
| マルテンサイト系 SUS416、440C、420J2など | ・焼入れ硬化をして使用される・切削加工ではSUS416が削りやすい |
| 析出硬化系 SUS630 | ・析出硬化熱処理により硬化する |
ステンレス系は一般的な鉄鋼材料よりも硬度が高いため、切削加工を行うと工具の寿命が短くなりやすい傾向にあります。
加工に時間がかかるため、コストが高くなる点にも注意が必要です。
マグネシウム合金
マグネシウムは鉄やアルミニウム合金などにくらべて切削抵抗が小さいため、切削加工がしやすい金属です。
マグネシウム合金は、大きく以下2つの種類があります。
- 塩化マグネシウムを電解して生成するもの
- 酸化マグネシウムに還元剤を添加して高温でマグネシウム地金を精錬するもの
また、マグネシウムには以下の特徴があります。
- 電磁波の遮断性にすぐれている
- 寸法安定性にすぐれ加熱後も変化が少ない
- 加工硬化率が高く、耐くぼみ性はアルミニウム合金よりも高い
- 切削加工がしやすい
- リサイクルができる
アルミニウム系
アルミニウムは、ほかの金属よりも軽くて柔らかいのが特徴です。
アルミニウム系の中でも、切削加工しやすいものとしてA2017（ジュラルミン）やA5056などがあげられます。
アルミニウム系材料は、鉄系材料などより強度が低い、材料そのもののコストが高いなどの特徴があるため、溶接などほかの加工方法には向かないことがある点に注意しましょう。
鉄系
鉄鋼材料は、切削加工に多く使用されている材料です。
比較的安価で手に入り、耐食性を問わない部品に多く使用されています。
銅合金系
銅合金は、導電性や熱伝導性が高いのが特徴です。
他の金属と融和しやすいため、幅広い種類の銅合金が作られています。
その他の金属
切削加工では、そのほかにも以下のような金属が使用されています。
| 金属の種類 | 特徴 |
| チタン合金 | ・鉄の半分の重さで、強度があり、耐食性にもすぐれている・熱伝導性が低く粘りがある |
| インコネル | ・主原料がニッケルできててる超耐熱合金・高温でも強度が落ちない・高温強度が高く、切削加工には高い技術が必要 |
| 15‐5PH | ・析出硬化系ステンレス・硬度が高く、発生する切削熱が高くなり工具消耗しやすい |
金属の切削加工で注意すべきポイント
金属の切削加工を行う際に、覚えておきたい注意点を解説します。
金属の抵抗力を考慮した調整を行う
切削加工で金属を用いる場合、工具と加工物が触れることで摩擦が発生します。
抵抗力が大きい金属の場合は、摩擦によって工具の摩耗が進んでしまうため、注意が必要です。
抵抗力の大きさは加工物の材質や工具との接地面積、回転速度や工具の種類によっても異なります。
特に切削面積は抵抗力に大きく影響するため、注意しましょう。
切削加工に使用する工具は、決して安価なものではありません。
加工の際には摩耗を防ぐために、適切な条件を整えましょう。
適切なスピードでの作業が必要
切削加工では、工具の速度を上げると作業速度が上がり、効率化につながります。
しかし、材料が金属の場合、工具の速度を増やすと材料と工具の間で摩擦熱が発生し、加工物が変形するリスクも高くなります。
金属の切削加工時は、素材や工具、加工する内容に応じて適切な速度を設定しましょう。
加工時の温度上昇に注意が必要
切削加工では、加工物と工具との摩擦で高熱が生じます。
高温により、加工物の変形などの加工精度への影響に注意しなければいけません。
加工速度は速いほど熱が発生し、加工面積が大きいほど摩擦が大きくなりやすくなります。
温度が高くなりすぎないように、切削加工には加工物と工具の摩擦を減らす切削油を使うなどの工夫が必要です。
まとめ
金属の切削加工の概要や用いられる方法や加工機、材料とする金属について解説しました。
材料とする金属によって、切削加工の向き不向きや難易度は異なります。
自社で希望する製品づくりが実現するためには、高い技術と品質で加工を行える、適切な業者選びが重要です。
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