今すぐ相談する
電話アイコン 0120-987-742
板金加工 2025.02.06

プレス加工とは?加工法と金型の種類を分かりやすく解説

プレス加工とは?加工法と金型の種類を分かりやすく解説

新しい製品の開発や試作品の製作を進める中で、加工法や委託先の選定は大きな課題ですよね。プレス加工は特に金属や樹脂を扱う場面でよく使われる手法ですが、メリットや他の加工法との違いがわからず、迷ってしまうこともあるでしょう。

この記事では、プレス加工の基本から、具体的な加工方法や金型の種類までをわかりやすく解説します。

Taigaで技術提案を受ける

プレス加工とは?

「プレス加工」とは、金属や樹脂などの素材に圧力を加え、金型の形に成形する加工方法です。「プレス(press)」という言葉は、押しつける、圧迫するという意味を持ちます。

金型を使うことで手作業よりも品質が安定し、同じ製品を大量に生産するのに適しています。また、細かいディテールや複雑な形状も高精度で再現できるため、さまざまな製品で利用されています。

プレス加工の製品例

日常生活で目にする多くの製品がプレス加工によって作られています。以下に、代表的な例をご紹介します。

  • 自動車の部品(ボディ、フレーム、ドア、ボンネット)
  • 電子機器の外装(ノートパソコンやスマートフォンの筺体)
  • 家電の外装(エアコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ)
  • 住宅の水まわり製品(キッチンシンクやバスタブ)
  • 医療機器(医療用クリップや関節部品)
  • 硬貨(1円玉や500円玉)
  • アルミ缶・ブリキ缶

プレスと板金・鍛造の違い

プレス加工を検討する際に、よく比較対象となるのが「板金加工」と「鍛造加工」です。

プレス加工と板金の違い

金属の板材を手作業で曲げたり、切断したりして製品を仕上げる方法です。

熟練した職人の技術により、細かな調整が可能で、特に複雑な形状の製品やカスタマイズが求められる製品には最適です。しかし、手作業がメインとなるため生産効率はやや低く、大量生産には不向きです。

プレス加工は機械を使って自動的に金型で成形するため、生産効率が高いのが特徴です。一度に大量の製品を均一な品質で製造できるため、製品ごとの差異がほとんどありません。

特に自動車部品や家電製品など、品質の安定性が求められる業界で多く採用されています。

プレス加工と鍛造の違い

鍛造(たんぞう)加工は、熱した金属の塊(ビレット)を叩いたり、強い圧力を加える加工方法です。

鍛造では強度が高まるため、エンジンのクランクシャフトや工具など、耐久性が重要な部品に適しています。しかし、複雑な形状を作るのが難しく、時間がかかってしまう点がデメリットです。

対して、プレス加工は比較的薄い金属の板材(ブランク)を用いて、金型で圧力をかけて成形します。

薄型の部品や軽量な製品の製造に適しており、短時間で多くの製品を作ることができるため、大量生産でも非常に効率的です。

プレス加工の種類

プレス加工と一口に言っても、様々な手法があります。

  • せん断加工
  • 曲げ加工
  • 絞り加工
  • 抜き加工
  • パンチプレス加工

それぞれの加工法を理解して、製品の形状や用途に応じて使い分けましょう。

せん断加工

「せん断加工」は、金属の板を切断する加工方法です。

金属を加工する際には、まず大きな素材を扱いやすいサイズに切り分けなければいけません。せん断加工で、まるでハサミで紙を切るように、金属に力を加えて切断していくのです。

具体的には、金属を「パンチ(上の金型)」と「ダイ(下の金型)」で挟み込み、逆方向の力を加えます。どんなに硬い金属でも、耐えられる力には限度があり、それを超えると分離して切断されるという仕組みです。

しかし、この過程で破断面が乱れ、バリ(かえり)やワレが発生してしまいます。

切り口の仕上がりを美しく、後の切削加工や研削加工の工程を削減したい場合には、「精密せん断加工」を選ぶとよいでしょう。

曲げ加工

「曲げ加工」は、金属の板や管を曲げて形を作る方法で、「ベンディング加工」とも呼ばれています。様々な形状や角度に金属を曲げることができるため、汎用性の高い加工法です。

曲げ方によってさまざまな技法に分類されますが、代表的なのは「型曲げ」です。

ダイ(下の金型)に乗せた材料をパンチ(上の金型)で押し込み、ダイの形状に合わせて金属を曲げます。出来上がった製品の形状によって、「V曲げ」「U曲げ」「L曲げ」「Z字曲げ」などに分けられます。

絞り加工

「絞り加工」は、金属の板に圧力を加えて引き伸ばし、容器状の製品を作る方法です。分かりやすい例としては、コップや鍋・お椀が挙げられます。

1枚の金属板から溶接や切削をせずに成形するため、継ぎ目がないのが大きな特徴です。耐久性が高く、漏れや腐食のリスクが低い製品を作りたい場合には特におすすめできます。

絞り加工は製品の形状に基づいて、「円筒絞り」「角筒絞り」「異形絞り」などに分類されます。例えば円筒絞りでは、金属板に均等に力を加えることで、円筒形の部品を効率的に製造します。

絞り加工はプレス加工の中でも特に難しいとされています。金型設計や製作には高度な技術が求められるため、すべてのプレス加工メーカーが対応できるわけではありません。

絞り加工を依頼したい場合は、豊富な実績と専門知識を持つメーカーを探しましょう。

抜き加工

「抜き加工」は、プレス機械を用いて材料から特定の形状や部分を取り除くことを指します。抜き加工には、大きく分けて5種類があります。

  • 打ち抜き加工:板材から製品(部品)となる部分をくり抜く
  • 穴抜き加工:製品から不要な部分を切り抜く。残った方が製品となる
  • 切り込み(スリット)加工:材料を完全には切断せず、繋がった状態のまま切り込みを入れる
  • 半抜き(ハーフ抜き)加工:完全には抜き取らずに、凹凸をつけるだけ。代表的なのはエンボス加工
  • 縁取り(トリミング)加工:不要な縁部分を取り除く。成形後の微調整

プレス加工の中でも、抜き加工は特にダレやバリ・ねじれといった不良が発生しやすい点に注意してください。「ダレ」とは、金属が成形される際に加工部分の周辺にできるくぼみや凹みを指します。

このような不良を抑制するためには、予備抜き後にシェービング加工を施したり、材料を正確に位置決めするといった工夫が重要です。

パンチプレス加工

「パンチプレス加工」は、金属板を目的の形状に切り抜いたり、穴を開けたりする加工方法です。「パンチングプレス」や「タレットパンチプレス(ターレットパンチプレス)」とも呼ばれます。

「タレット」と呼ばれる金型ホルダーに複数の「パンチ(金型)」を装着し、自動的に交換しながら加工を行います。従来では熟練の作業者に依存していた高精度な加工も、容易に行える点がメリットです。

さらに、専用の金型を必要としないため、コストや時間の節約につながります。加工プログラムを書き換えるだけで様々な形状に加工できるため、少量多品種生産から大ロット生産まで柔軟に対応できるのも強みです。

ただし、パンチプレスで加工できる金属板の厚さは約3mmまでです。それ以上厚くなると金型や機械に過度な負担がかかるため、加工精度が低下してしまいます。

そのため、3mmを超える板厚の材料を加工する場合は、レーザー加工機など別の方法を検討したほうがよいでしょう。

プレス金型の種類

プレス加工では、以下3種類の金型を使用します。

  • 単発プレス
  • 順送プレス
  • トランスファープレス

それぞれ特徴が異なるため、どの金型で生産を行うべきかをメーカーと相談してみてください。

単発プレス

「単発プレス」は、1つの金型が一つの工程を処理します。

例えば、曲げ加工やパンチングなどの工程ごとに異なる金型を使い分けて進めることになります。人の手で次の工程に移行するため、手間はかかるものの柔軟性が高い点が特徴です。

また、金型の費用が比較的安価であり、特に試作品の製造や少数の部品を個別に加工する際には単発プレスがよく選ばれます。

順送プレス

順送プレスは、1つの金型で複数の工程を連続的に処理します。

金属の板材を機械にセットするだけで、抜き打ち加工・穴あけ加工・せん断加工といった様々な工程が行われます。

このため、加工速度が非常に速く、1分間に200個以上の製品を加工できるケースもあります。

加工が自動的に繰り返されるため、安定した品質を保ちながら大量生産が可能なのです。自動車部品や家電製品など、同じ製品を大量に製造する際にはぜひご活用ください。

ただし、金型の構造が非常に複雑なため、金型の製作コストが高くなってしまうのがデメリットです。

トランスファープレス

「トランスファープレス(TRF)」では、各工程ごとに独立した金型を使用し、素材を自動的に搬送しながら複数の加工を行います。

複数の工程を連続して行うという点では順送プレスと共通していますが、各工程が別々の金型で行われるため、より複雑な形状の部品や大型の加工品に対応できる点が異なります。

トランスファープレスでは、各工程間で素材を移動させるために搬送機構が搭載されています。この機能によって素材が順番に金型へ送られ、切断・曲げ・絞りといった加工を進めていくのです。自動化されているためヒューマンエラーが減少し、製品の精度が高いというメリットがあります。

ただし、金型の製作費用に加えて設計費用も必要になるため、初期費用が高額になってしまいます。生産規模や長期的な計画に基づいて、導入すべきかどうか検討しましょう。

まとめ

今回は、プレス加工の具体的な方法や金型の種類を詳しく説明しました。

プレス加工は品質が安定しており、大量生産に適しているため、自動車部品や家電製品など生活に欠かせない製品に多く使われています。

ただし、加工方法や金型によって特徴が異なるため、製品の仕様や生産量、コストなどを考慮し、最適な方法を選択する必要があります。

「自社の製品にはどの加工法が最適なのか?」と悩んでいる方は、ぜひTaiga(タイガ)をご利用ください。

Taigaでは、プレス加工を含むさまざまな加工方法において豊富な経験を持つ技術者が、貴社に適した製造方法を提案いたします。

利用料金は無料ですので、安心してご相談ください。まずはアカウントを作成し、Taigaのサービスを体験してみてはいかがでしょうか。

Taigaで技術提案を受ける

コメントする

ひらがな認証

見積もりから始めよう