
プラスチックが持つ耐熱性や強度の低さをカバーするために開発された、スーパーエンプラ。
現状、数あるプラスチックの中で最も機能性が高く、自動車部品などにも使われています。
とはいえ、比較的新しい素材ということもあり、多くの疑問を抱えている方もいるでしょう。
そこで今回は、スーパーエンプラの特徴や種類、エンプラとの違いや代表的な用途について詳しく解説していきます。
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スーパーエンプラとは?
スーパーエンプラとは、一般的なプラスチックに比べて耐熱性や強度に優れたプラスチックのことです。
正式名称は、スーパーエンジニアプラスチックといいます。
明確な定義は存在しませんが、150℃以上の熱に耐えられて、長期間使用できるものをスーパーエンプラと呼んでいます。
後ほど詳しく解説しますが、スーパーエンプラはその強度や耐熱性の高さから、航空宇宙、自動車、医療機器をはじめとする要求レベルの高い分野で活用されることが多いです。
エンプラとの違いは?
スーパーエンプラと似ている素材に、エンプラというのがあります。
これは、エンジニアプラスチックのことであり、一般的には100℃以上の熱に耐えられるプラスチックのことを指します。
スーパーエンプラに明確な定義がないように、エンプラにも条件や定義が存在していません。
そのため、100℃以上の熱に耐えられるものをエンプラ、150℃以上の熱に耐えられるものをスーパーエンプラと覚えておきましょう。
スーパーエンプラの代表的な種類
スーパーエンプラには、いくつかの種類があります。
以下、代表的な種類とその特徴について詳しく見ていきましょう。
PPS

PPSは、ポリフェニレンサルファイドの略称です。
最大の特徴は、280〜290℃の熱に耐えられることです。
また、耐熱性だけでなく、機械的強度と耐薬品性を兼ね備えているため、自動車のエンジンや電装部品などに使用されることが多くなっています。
PEEK
PEEKは、ポリエーテルエーテルケトンの略称です。
240~250℃の熱に耐えられ、融点が334℃に達することから、耐熱性が求められるシーンで活躍しています。
PTFE樹脂
PTFE樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンの略称です。
この素材は、ほとんどの化学薬品に耐性があり、電気絶縁性に優れています。
このような特性を活かし、現在では非粘着コーティングやシール材などに使われることが多いです。
PSU
PSUは、ポリスルホンの略称です。
この素材は、耐熱性や難燃性、耐薬品性に優れているため、フィルターなどの分離膜材として使用されています。
その他、医療器具や食品加工機械の部品に使われることもあります。
スーパーエンプラのメリット
では次に、スーパーエンプラのメリットについて詳しく見ていきましょう。
耐熱性・強度に優れている

スーパーエンプラは、耐熱性や強度に優れたプラスチックです。
中には300℃以上の熱に耐えるものもあり、自動車部品や医療部品、航空部品など、要求レベルが高い分野で使われることが多いです。
一般的なプラスチックが持つ弱点をカバーした素材ということもあって、現在では様々な業界や分野から注目されています。
耐薬品性に優れている
耐薬品性に優れていることも、スーパーエンプラのメリットです。
酸やアルカリ、溶剤などに対する耐性が強いものが多く、化学プラントや医療機器での使用に適しています。
摩耗を軽減できる
スーパーエンプラの中には、自己潤滑性を持つものもあります。
これらの素材は、摩擦が少なく、稼働部品における摩耗を軽減しやすいです。
このようなことから、ベアリングやギアなどに使用されることも増えてきています。
電気絶縁性に優れている
スーパーエンプラは、電気絶縁性に優れた素材です。
そのため、電気を通してはいけない部品に使用されることが多くなっています。
また、電子部品や電気機器の絶縁材としても使用されています。
軽量性に優れている
軽量性に優れていることも、スーパーエンプラのメリットです。
一般的なプラスチック同様、素材自体が非常に軽いため、軽量化を求められる製品にも使用できます。
特に、航空宇宙や自動車産業など、軽量化に課題を抱えている分野で注目されています。
スーパーエンプラのデメリット
では次に、スーパーエンプラのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
製造コストが高い
スーパーエンプラは、非常に高性能のプラスチックですが、その分価格も高いです。
また、製造や加工プロセスに高度な専門知識と技術が必要になるため、一般的なプラスチックに比べるとコスパが悪くなります。
とはいえ、その分製品のクオリティや品質が上がるため、結果的にはメリットの方が大きくなるケースもあります。
製品の製造や加工において、コストは無視できませんが、コストだけを見てしまうとスーパーエンプラが使えなくなってしまうため、コスト以外の部分にも注目し、バランスを考慮した上で使用するかどうかを判断していきましょう。
成形加工が難しい
プラスチックの代表的な加工方法に、成形加工というのがあります。
ただ、スーパーエンプラは耐熱性が高く、機械的強度が高いため、成形加工が若干難しいです。
高温での成形や特定の形状への加工には、専用の設備が必要になります。
耐紫外線性に劣る
一部のスーパーエンプラは、紫外線に弱く、太陽光にさらされると劣化が進んでしまうものがあります。
そのため、屋外での使用が前提となる製品を製造する際は、対候性の高いスーパーエンプラを選ばなければなりません。
スーパーエンプラの代表的な用途
では次に、スーパーエンプラの代表的な用途について、詳しく見ていきましょう。
自動車産業

スーパーエンプラは、我々の生活に欠かせない自動車産業でも大活躍しています。
特に軽量化や燃費向上、耐久性向上に期待できることから、以下のような部品・パーツに使用されることが多いです。
- エンジン部品
- ギアやベアリング
- 燃料系統
高温にさらされるエンジン内部や周辺機器には、スーパーエンプラが最適といえます。
耐熱性や耐摩耗性、耐薬品性が求められることもあって、近年では金属の代替材料として注目を集めています。
また、軽量かつ低摩耗性があることから、可動部品として使用されることも多いです。
ギアやベアリングにスーパーエンプラを使用することにより、摩耗の軽減とともに、耐久性の向上に期待できるようになります。
さらに、燃料ポンプやバルブなど、燃料系統に使用されることもあります。
航空宇宙産業
航空宇宙産業においても、スーパーエンプラは大人気です。
軽量かつ高強度という特徴を持っているため、以下のような部分で活用されています。
- 機体構造部品
- エンジン部品
- 電気絶縁部品
航空機の機体構造部品は、軽量化が求められます。
スーパーエンプラは、軽量かつ強度が高いため、安全性やエネルギー効率の向上に期待できるのです。
また、高温下でも優れた性能を発揮するスーパーエンプラは、ジェットエンジン内の部品としても使われています。
さらに、航空機部品の中には、電気を通してはいけないものがあります。
例えば、電子機器やセンサーなどです。
スーパーエンプラは、電気絶縁性が高いという特徴を持つため、このような精密部品にも使用されます。
医療機器
耐薬品性や生体適合性を持つスーパーエンプラは、医療分野でも大活躍しています。
特に、
- 手術器具
- 人工関節やインプラント
- 医療チューブやフィルター
などに使われることが多いです。
手術器具は、滅菌や消毒が必要であり、様々な薬品を使用してメンテナンスをします。
スーパーエンプラは、耐薬品性が強いため、消毒や滅菌を繰り返し行っても耐久性が落ちにくいのです。
また、一部のスーパーエンプラは生体適合性が高く、人工関節やインプラントにも適しています。
その他、化学薬品に触れるチューブやフィルターの材料として使われることも多いです。
電子機器
スーパーエンプラは、電子機器に使われることもあります。
代表的な部品としては、以下のようなものが挙げられます。
- コネクタやソケット
- プリント基板
- 絶縁部材
コネクタやソケットには、絶縁性が求められるため、スーパーエンプラが最適です。
また、プリント基板にも高温での使用や化学薬品の耐久性が重要となるため、スーパーエンプラとの相性が良いといえます。
その他、電子機器内部にある絶縁部材にも使用されています。
家電製品
スーパーエンプラが、意外と身近な製品にも使われていることをご存じでしょうか。
- 高温部品
- 電気ケーブルの絶縁材
例えば、オーブンやドライヤーなど、内部が高温になる家電には、スーパーエンプラが使われていることが多いです。
その他、家庭で使用する電気ケーブルやコネクタ部分にも、スーパーエンプラが使用されます。
スーパーエンプラの加工はどこに依頼する?
スーパーエンプラの加工には、高度な技術と知識、それから専用の設備が必要です。
比較的新しい材料ということもあって、加工環境が整っている工場は比較的少ない傾向にあります。
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まとめ
プラスチックの弱点をカバーしてくれるスーパーエンプラ。
150℃以上の高熱にも耐えられ、強度にも優れていることから、自動車や航空宇宙、医療など様々な分野で注目されています。
しかし、スーパーエンプラの加工には専門的な技術や知識、設備が必要であり、外注をする場合は信頼できるパートナーを慎重に探していかなければなりません。
パートナー探しの手間や負担を省きつつ、スムーズにスーパーエンプラの加工を発注したい方には、Taigaがおすすめです。
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また、スーパーエンプラ以外の加工や製造にも使えますので、少しでも気になる方はぜひご活用ください。
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