
板金加工とは、薄い金属板を加工してさまざまな形状や製品を作り出す技術です。主に鉄、ステンレス、アルミ、銅などの金属板を使用し、溶接や曲げなどの工程を経て製品を作ります。
本記事では、そんな板金加工の種類やそれぞれの特性といった基礎的な知識を解説します。板金加工の導入を検討している際は、本記事をご自身の選択の参考にしてみてください。
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板金加工の種類
板金加工には、用途や目的に応じてさまざまな種類があります。それぞれの加工方法には特徴があるため、製品の形状や精度、材料に応じて最適な手法を選ぶことが重要です。
以下で職人が手作業で行う手板金と、工作機械を使う機械板金について詳しく解説していきます。
種類①|手板金
手板金は、熟練の職人が手作業で行う板金加工を指します。主に、一点ものの装飾品や特注製品、機械では難しい細かな加工が必要な製品に用いられる手法です。
また、修理や補修などにも活用できます。手板金に使われる道具は、ハンマーや専用のハサミ、バイス、スクライバーなどです。
加工の正確さや仕上がりの品質は、職人の経験と技術力に大きく依存するため、熟練した技術が求められます。
種類②|機械板金

機械板金は、専用の機械や設備を使用して板金加工を行う方法のことです。NC機械や自動化された加工機械を活用し、大量生産から精密な加工まで幅広いニーズに対応できます。
手作業による手板金に比べ、生産効率が高く、加工精度が安定しているのが特徴です。自動車部品や家電製品、電子機器など多くの分野で欠かせない加工技術となっています。
板金加工における加工方法の種類
板金加工では、製品の形状や用途に応じてさまざまな加工方法が採用されます。ここでは、板金加工における代表的な加工方法の種類を3つ紹介します。
- レーザー加工
- タレパン加工
- 曲げ加工の種類
レーザー加工
レーザー加工は、高エネルギーのレーザービームを使用して材料を切断や穴あけをする方法です。高精度で効率的な加工が可能で、複雑な形状や細かなディテールを持つ部品の製作に適しています。
また、高速かつ高精度な特徴を持っているため、大量生産に向いていることも特徴の一つです。自動車や航空宇宙、医療機器、電子機器といった分野で活用されており、板金加工において重要な役割を担っています。
タレパン加工

タレパン加工とは、主にタレットパンチプレスと呼ばれる専用の機械を使用して、金属板に穴を開けたり切り抜いたりするための加工方法です。
丸穴や四角穴、スリットなど、さまざまな形状を1台の機械で加工でき、高速かつ効率的に穴あけや切断が行える特徴を持っています。
その一方で、厚さ3mm以上の金属板を加工することは難しい場合があります。
曲げ加工の種類
曲げ加工は、主にプレスブレーキやロールベンディングなどの機械を使用して、金属板を適当な形に曲げる加工方法のことを指します。曲げ加工によって、曲げ部分の強度を補強したり、必要な形状を形成したりすることが可能です。
曲げ加工には以下のような種類があり、それぞれの方法について解説していきます。
- パーシャルベンディング(エアーベンディング)
- ボトミング
- コイニング
パーシャルベンディング(エアーベンディング)
パーシャルベンディング(エアーベンディング)は、金属板を完全に折り曲げるのではなく、ある特定の角度だけ曲げる方法のことです。
具体的には、以下のような3点(画像の●部分)の設置部分以外は空中に浮いているため、エアーベンディングとも言われています。
部分的な曲げを用いることで、複雑な形状や機能を持つ部品の設計が可能になる一方で、板の厚さや金属の硬度によって精度の精度が左右される特徴があります。
ボトミング
ボトミングは、パンチとダイを使って金属板を所定の角度や形状に成形する際に、板材をダイの底(ボトム)に押し付けて曲げる方法です。
パンチがダイの底部まで降下し、金属板を完全に押し付けるため、曲げ角度が非常に安定します。また、ダイの形状を工夫することで、曲げ加工だけでなく成形加工も同時に行えることも特徴の一つです。
一方で、ダイの形状に合わせた加工しかできない点や定期的なメンテナンスが必要になる点には注意が必要です。
コイニング
コイニングは、ボトミングよりも大きな圧力を加え、金属板をパンチとダイの形状に「押し付ける」ことで、高い寸法精度と仕上がりの良さを実現する加工方法です。
金属板は完全に塑性変形し、内部応力が均一化されるため、加工後のスプリングバック(元の状態に戻ること)を抑制できます。
ただし、コイニングでは非常に大きな圧力が必要なため、専用の強力なプレス機が必要になることや、金型の摩耗が激しいため、機械の寿命が短くなる可能性がある点には注意が必要です。
板金加工の種類を選ぶ際の基準
ここでは、板金加工の種類を選ぶ際の基準を4つ紹介していきます。
- 要求精度
- 生産量
- コスト
- 材料の種類と厚さ
要求精度
高度な精度を要する場合と一般的な精度では、コスト面や加工効率のため、板金加工の種類を分ける必要があります。
高精度が必要な場合は、繊細な仕上がりが求められるため、精密板金加工を選択します。
精密板金加工の基準は寸法公差±0.1mmから±0.05mm以下です。その高度な精度から医療機器や航空宇宙、自動車、電子機器などで活用されています。
一方で、一般的な精度の場合、通常の板金加工で問題ないでしょう。
生産量
板金加工では、生産量が加工方法を選択する上で重要な基準の一つとなります。
大量生産の場合は、効率性とコスト削減が最優先されるため、レーザー加工やタレパン加工などの機械板金加工が適しています。
一方で少量生産や一点物の場合、柔軟性や初期投資の少なさが重視されるため、手板金や精密板金加工が適しているでしょう。
コスト
板金加工を選ぶ際には、加工方法ごとに初期投資、材料費、加工費、人件費などの要素が異なるため、コスト面も重要な指標になります。
コストを抑えたい場合は一般的な板金加工を選択します。なぜなら一般的な板金加工では、シンプルな形状の部品を製造するため、加工時間が短く、製造費用も安くなるからです。
高精度や複雑な形状が必要で、コストが二の次の場合は精密板金加工を選択します。
材料の種類と厚さ
板金加工の種類を選ぶ際には、材料の種類と板の厚さも重要なポイントになります。
なぜなら、材料の種類や厚さによって加工時の曲げやすさや仕上がりの制度が異なるからです。
薄い材料の場合は、高速切断が可能なレーザー加工が適しています。一方厚い材料の場合は、加工には非常に大きな力が必要であり、専用の設備が求められるため、シャーリング加工やタレパン加工が適しています。
まとめ
この記事では、板金加工の種類について詳しく解説してきました。
板金加工は、薄い金属板を加工してさまざまな形状を作る技術で、手作業の「手板金」と機械を使う「機械板金」に分類されます。手板金は特注品や修理に適し、機械板金は大量生産や高精度な加工が得意です。
加工方法には、複雑形状に対応するレーザー加工、高速で穴あけを行うタレパン加工、角度精度に優れる曲げ加工などがあります。
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