
ULTEM(ウルテム)は、バランスの良い特性を持つスーパーエンジニアプラスチックのひとつです。
ULTEMを使って製品製造を検討しているものの「ULTEMの特性やどんな製品に向いているかが知りたい」「ULTEMの切削加工のメリットや注意点を知りたい」と考えている方も多いかもしれません。
今回の記事では、ULTEMの素材としての概要やメリット、デメリットとともにULTEMの切削加工のメリットや注意点について解説します。
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ULTEM(ウルテム)はPEI(ポリエーテルイミド)の一種
ULTEM(ウルテム)とは、非晶性のスーパーエンジニアリングプラスチックであるPEI(ポリエーテルイミド)の一種です。
アルミの半分以下の軽量性や高い強度、重量比をはじめ、多くの特性をバランスよく持っています。
ULTEMは、アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社が開発した素材で、現在はサウジ基礎産業公社(SABIC)によって生産されています。

ULTEM(ウルテム)の長所・メリット
ULTEMは、以下のような長所・メリットを持つ素材です。
- 耐熱温度180〜220℃の耐熱性
- 高温下・水蒸気中での寸法安定性
- 難燃性(UL94 V-0規格認証)
- 燃焼時の低煙性・低毒性
- 耐UV性、耐候性
- 対薬品性(オイル、アルコール、酸など)
- 高い絶縁耐力
- 人体と食品に対する衛生性
- 他のスーパーエンプラより安価
- 製造しやすい
耐熱性や難燃性をはじめとした性質をバランスよく持っている一方で、他のスーパーエンプラよりも価格が安く、寸法安定性があることで製造しやすいメリットもあります。
ULTEM(ウルテム)の短所・デメリット
ULTEMは、以下のような短所やデメリットがあります。
- 有機溶剤に弱い
- 耐摩耗性が低い
多くの長所やメリットを持つULTEMですが、短所やデメリットに注意が必要です。

ULTEM(ウルテム)の種類
ULTEMにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が以下のように異なります。
種類 | 特徴 |
ULTEM1000 | ・標準非充填グレード・耐熱性、強度、寸法安定性が高い |
ULTEM1010 | ・耐熱性と機械的強度が最高レベル |
ULTEM2100 2200 2300 | ・ガラス繊維含有量それぞれ10%、20%、30%のガラス強化グレード・高温での強度、剛性、寸法安定性が向上している |
ULTEM5000 5100 | ・航空業界を念頭に置いて設計されたグレード・可燃性、発煙性、毒性特性が改善されている |
ULTEM4001 4011 | ・射出成形用途における加工性の向上のために最適化されたグレード・4001 は耐熱性、耐薬品性、生体適合性が高い・4011はさまざまな化学物質に対する耐性と生体適合性が特徴 |
カーボンファイバー充填ULTEM | ・ULTEMのすぐれた機械的、熱的、および化学的耐性にカーボン ファイバーの軽量性と強度を融合した強力な複合材料・寸法安定性、剛性、導電性にすぐれている |
ULTEM以外のPEIの種類
スーパーエンジニアリングプラスチックであるPEIには、ULTEM以外にも以下の種類があります。
種類 | 特徴 |
標準グレード | ・機械的強度と耐熱性にすぐれている・150℃以上の温度環境でも性能を発揮できる |
強化グレード | ・ガラス繊維30%配合・剛性とクリープ強度が高い |
高強化グレード | ・50vol%のガラス繊維織布で強化されたポリエーテルイミド(ウルテム樹脂)をベースにしたPEIコンポジット |
ULTEM(ウルテム)が用いられるシーン・製品例
ULTEMを活用したシーンや製品には、以下のようなものがあります。
- 航空宇宙産業(航空機内のブラケットなど)
- 自動車産業(オイルポンプ)
- 石油化学工業(作業工具)
- 医療産業(手術器具)
- 一般消費者向け製品(メガネフレーム、ギターピックなど)
ULTEM(ウルテム)を切削加工するメリット
ULTEMを材料とした製品や部品の制作手法のひとつに、切削加工があります。
ULTEMに切削加工を用いるメリットを順に解説します。
加工費用を抑えられる
切削加工は金型を製作する必要なく、データやプログラムがあればすぐに加工を開始できるのがメリットです。
金型の製作コストが発生しないため、加工費用を抑えられます。
ULTEMはスーパーエンプラの中でもコストが安い素材のため、コストと品質のバランスを考慮しながらの製品製造が可能です。
細かい寸法の製品を高い精度で製造できる
切削加工は、データやプログラムをもとに加工を行うため、ミクロン単位での寸法の調整も可能です。
そのため、自動車製品や航空製品といった、高精度や寸法管理が求められるULTEMの用途と親和性が高いといえるでしょう。
幅広い形状に加工できる
切削加工は、切削機械が対応している範囲なら幅を限定せずに加工ができます。
さらに、データやプログラムをもとに加工を進めていくため、複雑な形状の加工も可能です。
航空宇宙産業のパーツや、医療分野の手術用品など、詳細な部位や複雑な形状が求められるULTEMを使った製作も、切削加工なら実現できます。
ULTEM(ウルテム)の切削加工における注意点
ULTEMを含むPEIは、ノッチ感度が高く角部の切削時に応力集中が発生しやすい特性があります。
そのため、加工時にはコーナーRを取って応力を分散させることで、切削時の割れや欠けを防げるでしょう。
部材によってコーナーRをとることが難しい場合は、切り込み量や送り速度をできるだけ少なくすることが有効です。
接着時はアクリルや塩ビのような溶着方法ではなく、物理的な接合方法を用いるため接合が甘い場合がある点にも注意してください。
ULTEM(ウルテム)の切削加工を依頼する業者の選び方
ULTEMの切削加工は、依頼する業者によって出来栄えやコスト、納期などが異なります。
ここでは、ULTEMの切削加工を検討しているときにも覚えておきたい、業者の選び方のポイントを解説します。
ULTEM(ウルテム)の切削加工実績があるか
切削加工の中でも、ULTEMを使った部品や製品製作の実績が豊富にある業者を選ぶようにしましょう。
ULTEMの切削加工実績が多い業者なら、ULTEMの切削時にも適切な加工速度の調整やコーナーRの設置、工具の選定などが可能です。
高度な寸法管理や精度が必要となるULTEMの切削加工も、納得の出来栄えが期待できるでしょう。
他の素材や加工方法を検討できるか
ULTEM以外の素材の加工実績や、切削加工以外の加工実績についても合わせて確認しておきましょう。
製作したい部品や製品によっては、より適切な材料や加工方法が存在する場合があります。
他の素材や加工方法の実績が多い業者なら、より良い選択ができるだけでなく、ULTEM以外の製品製造も合わせて依頼できるメリットもあります。
加工コストや納期が合うか
ULTEMの加工コストや納期は、依頼する業者によって異なります。
実績が豊富にある業者でも、納期遅れやコストオーバーといったトラブルが発生してしまう可能性はゼロではありません。
依頼の候補となる業者が見つかったら、見積もりを請求してコストを確認するほか、具体的な納期についても把握しておきましょう。

ULTEM(ウルテム)は3Dプリントでも使用される素材
ULTEMは、3Dプリンターを使った加工でも使用される素材です。
3DプリントでULTEMを使用すれば、金型製作不要で加工ができるだけでなく、無駄になる材料がほとんどありません。
そのため、ULTEMのコストパフォーマンスの良さをさらに引き出せます。
また、軽量化を目的に3Dプリンターを使用すれば、従来の加工方法では難しい複雑な形状の加工での軽量化も可能です。
ULTEMの持つ軽量性をさらに活かせるでしょう。
まとめ
ULTEMの概要やメリット、デメリットとともにULTEMの切削加工や加工時の注意点について解説しました。
ULTEMはスーパーエンプラの中ではコストが低く、性能のバランスも良い部材です。
技術力や実績の高い業者を選定し依頼することで、納得の加工につながるでしょう。
ULTEMを活用した部品製造を検討している方は、ぜひ「Taiga(タイガ)」をご活用ください。
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