
本記事では、砂型鋳造・石膏型鋳造・金型鋳造のメリット・デメリットやコスト相場、納期、業者選びのポイントを解説します。
さらに、初期費用を抑える方法から3Dプリントとの比較検討まで、小ロット生産を検討する際に理解しておきたい情報も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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小ロットで鋳造を依頼するメリットとは?
小ロット生産の大きなメリットは、製品開発の効率化と市場競争力の向上です。

小ロット生産を行うことで、製造過程で発見された不具合に迅速に対応できるため、大量生産と比べて無駄な部品生産やコストを最小限に抑えられます。
また、市場の反応を見ながら製品を調整できるため、現代の消費者ニーズに適応しやすくなるのもメリットです。
多品種生産にも適しており、さまざまなユーザーの要望に応えられるバリエーション展開も可能になります。
近年では、時代の変化とともにメーカー側もコスト重視の姿勢を強めており、商品開発における小ロット生産の需要は増加しています。
小ロット生産に適した主な鋳造方法
小ロット生産に適した鋳造方法としては、主に以下の3つが挙げられます。
砂型鋳造
砂型鋳造は、砂を固めて作った鋳型に溶融金属を流し込む方法で、型の製作コストが低く、小ロット生産に適しているのが特徴です。
鉄などの高融点金属の鋳造にも適しており、複雑な形状や中空構造が製作できるため、大型製品の製造にも対応できます。
また、造形スピードが速く、短期間で製作できるのもメリットです。
一方、寸法精度が比較的低く、毎回型を作り直す必要があるため単価が高くなる傾向があります。
表面が粗いというデメリットもありますが、近年は人工珪砂の使用や樹脂による硬化方法の進化により、表面品質が向上しています。
石膏型鋳造(ロストカット鋳造)
石膏型鋳造は、ワックスで原型を作り、その周りを石膏で覆って鋳型を作る方法です。

金型が不要なため、初期費用を抑えられるのがメリットです。また、複雑な形状や精密な部品の製造に適しています。
ダイカスト同等の滑らかな仕上がりと精度で、ダイカストの試作品や小ロット生産に利用されることが多いです。
ただし、砂型鋳造に比べてコストが高くなる傾向があります。
金型鋳造
金型鋳造は、金属製の金型に溶融金属を圧入して造形する方法です。
金型を繰り返し使用可能なため大量生産に適しており、試作品から量産への移行をスムーズに行えます。
また、冷却速度も速いため、鋳物の機械的性質を向上できるのもメリットです。
寸法精度と表面品質にも優れており、精密な部品や外観品質が重視される製品の小ロット生産にも適しています。
ただし、金型製作の初期費用が高額になるため、小ロット生産ではコストが高くなる場合があります。
小ロット鋳造にかかるコストと価格の決まり方
小ロット鋳造のコストは、主に以下の要素で決まります。
- 鋳造方法
- 製品の形状とサイズ
- 使用する材料
- 鋳造後の加工や仕上げ
- ロット数
- 納期
一般的に、砂型鋳造は比較的安価で、石膏鋳造や金型鋳造は高くなる傾向があります。
また、複雑な形状の製品やチタンやステンレスなどの高価な素材を使用する場合も、当然コストは高くなるでしょう。
一方、ロット数が増えるほど固定費がロット数に応じて分散されるため、単価は下がる傾向にあります。
コスト相場としては、エンジン部品を40ロット生産する場合、砂型鋳造では3.7万円/個、石膏鋳造では3.6万円/個ほどです。
小ロット鋳造を依頼する際は、複数の業者に見積もりを依頼し、コストを比較しましょう。
小ロット鋳造の費用を抑える方法
小ロット鋳造の費用を抑えるには、以下の方法があります。
簡易金型を使用する
金型は、樹脂成形や鋳造で製品を量産するために必要な道具ですが、初期費用が高額です。
そこで、簡易金型を用いることで少量生産や試作でもコストを抑えた製造・加工を行うことができます。
アルミ製や構造を簡素化した簡易金型は、本金型に比べて費用を抑えられるだけでなく、短納期にも対応可能です。
ただし、耐久性や製品形状には制限があり、2,000ショット程度の生産にしか使用できません。
アルミダイカスト木型を使用する
アルミダイカスト木型は、木材を加工して作った型を使ってアルミダイカスト製品を製造する方法で、短納期かつ低コストでの製造が可能な点が魅力です。
高精度な木型によって、ダイカストに近い寸法精度と滑らかな鋳肌を実現できます。
試作から小ロット生産まで幅広く、プレスや鍛造からの代替も可能です。
小ロット鋳造の納期はどれくらい?
小ロット鋳造の納期は、製品の寸法・形状・鋳造方法・業者の繁忙具合で変動します。
標準的には1ヵ月程度ですが、形状の複雑さや表面処理の有無で延びる場合もあり、数週間から数ヵ月かかることを考慮する必要があります。
小ロット鋳造を依頼する業者を選ぶ際のポイント
小ロット鋳造を依頼する業者を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。
対応ロット数
業者によって、対応できる最小ロット数が異なります。
一般的に、砂型鋳造や石膏型鋳造は10個未満から、ダイカストは30個から、金型鋳造は50個程度から対応している業者が多いでしょう。
また、将来的な生産量の増加にも柔軟に対応できる業者を選ぶことで、長期的な依頼にもつながるでしょう。
対応素材や対応している加工方法
鋳造業者の対応素材や加工方法の幅広さは、製品開発の可能性を大きく左右します。
主要なアルミ合金(AC2A、AC4B、ADC12など)やマグネシウム合金への対応は基本として、特殊素材への対応可否も確認しましょう。
また、鋳造後の機械加工や表面処理などの複合的な加工方法を提供できるかも重要です。
例えば、複雑な形状の部品や薄肉成形が必要な製品に対応できる技術力を持つ業者を選ぶことで、製品の品質と機能性を高めることができます。
過去の実績
業者の過去の加工・製造実績は、その技術力と信頼性を判断するために欠かせません。
依頼する製品・部品の類似製品の製作実績や、中空鋳造や薄肉成形などを確認しておきましょう。
可能であれば、実物サンプルの提示を依頼し、仕上がりの品質を直接確認することをおすすめします。
納品までの期間
納期の正確さと短縮能力は、製品開発のスケジュール管理において重要です。

3D CADデータを直接鋳造工程に反映できるデジタル連携システムの有無や、工程の可視化・進捗管理システムの導入状況を確認しましょう。
また、緊急対応や納期短縮の実績があれば、より安心して依頼できます。
自社の納期要求に確実に対応できる業者を選ぶことが、スムーズな製品開発につながります。
小ロット生産なら3Dプリントがおすすめなケースも
複雑な形状の試作品やデザイン検証用の部品を製作したい場合には、3Dプリントもおすすめです。
3Dプリントは、金型が不要なため、鋳造よりも短納期かつ低コストで製作できます。
特に、以下のような条件下では3Dプリントが有利になる可能性があるでしょう。
- 超小ロット生産(1〜10個程度)
- 複雑な形状で、鋳造では製作が困難な場合
- 迅速なプロトタイピングが必要な場合
- 材料強度がそれほど要求されない場合
3Dプリントによる小ロット生産は、以下のメリットがあります。
- 試作コストを抑えられる
- 設計の自由度が高く、仕様変更が容易
- 複雑な形状や中空構造を一体で造形可能
- 3Dデータで改善検討することで、短期間で品質向上
ただし、鋳造品と比較して強度が低く、表面品質が劣る場合がある点はデメリットです。
製品の要求仕様や生産数量を慎重に検討し、鋳造と3Dプリントのメリット・デメリットを比較することで、最適な生産方法を選択しましょう。
まとめ
小ロット鋳造は、多品種少量生産や試作品制作において、コストと時間を効率化する有効な手段です。
ただし、超小ロット生産や短納期が求められる場合など、3Dプリンターの方が適していることもあるため、比較検討することが大切です。
本記事で紹介した鋳造方法や業者選びのポイントを参考に、自社ニーズに合った最適な選択肢を見つけてください。
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